絵本と 不発弾ピアスと アフガニスタン

 

シャンティ国際ボランティア会のことを、わたしがはじめて知ったのは、たぶん、2004年のスマトラ沖地震のとき。

 

日本からもさまざまな団体が支援にかけつけ、阪神淡路大震災で培ったノウハウを応用してお手伝いをしていましたが、そのあと被災地にとどまって子どもたちに絵本を届ける「図書館活動」をした風変わりな団体として、ぼんやり印象にのこりました。

 

「シャンティ」なんて名前だから、若手僧侶の団体かもねと思いました。

じっさい、原点は曹洞宗の有志によるインドシナ難民救済活動だそうですが、40年近い歳月を経て、特定の宗教とはかかわりをもたない公益社団法人、国際協力NGOとして、めざましい活動実績をあげているようです。

特筆すべきは、絵本をとおして、アジアの子どもたちの教育支援を行っていること。

 

2011年の東日本大震災でも、いちはやく気仙沼事務所をたちあげ、「走れ東北! 移動図書館プロジェクト」とやらで図書館バスで走り回っているシャンティを、やはり気仙沼とご縁があって個人的に細々と支援をしていたわたしは、横目でちらちら見ていました。

 

そんなふうに、なんとなーく意識していたシャンティから、直接お声がかかったのが、去年のこと。

「せかいでいちばんつよい国」に山岳民族のカレン語とビルマ語のシールを貼って、難民キャンプに届ける企画がはじまったのです。

私は両手をあげて、はしゃいで参加。とても新鮮な体験でした。

 

 

そのご縁で「絵本を届ける運動」20周年記念に呼んでいただくことになり、シャンティの専門アドバイザーである鎌倉幸子さんと対談をしてきました。

 

イベント前半はシャンティの海外での活動報告です。

日本のボランティアたちが現地語のシールを貼った山のような絵本のコンテナが船に積まれ、トラックに積みかえられて道なき道をひた走り、泥にうまって難渋し、ようやく山奥の子どもたちの手に届くまでの写真の数々。

ポルポト政権によって学者も教師も図書館も本も抹殺されつくした祖国で教師になり、いま子どもたちに絵本を手渡している中年男性の穏やかな表情。

文字のよめない親に、絵本を音読してあげる子どもの誇らしげな顔。

カンボジア事務所で9年間をすごした鎌倉幸子さんが語る現地の子どもたちの本の読み方に感心したり、しんみりしたり。

私は完璧に聴衆になり、放心してしまいました…。ぼーっ。。。

まずい、言葉がでてこない…。。。

 

どうにか気を取り直して「せかいでいちばんつよい国」「メルリック まほうをなくしたまほうつかい」「いっしょにおいでよ」「ひみつのビクビク」についての話をしましたけど。

 

ちなみに、この日、わたしのピアスは、これ。

 

銀色の8面体を半分に切ったようなスタイリッシュな金属ピアス。

重そうにみえて、とても軽いので、お気に入り。

 

じつはこれ、もう何年も前に、シャンティの手工芸品の販売による支援活動クラフトエイドで買いました。

なんと、ラオスの地中に埋まっているベトナム戦争の不発弾を回収してピアスにしたもの。

 

ざんねんながら、いまは在庫がないそうです。(ほかにも素敵なのがありますよ)

私:「友だちにもプレゼントしたんですよ。もっと欲しいなあ。原料調達できませんか?」

鎌倉さん:「そうね、ビジネスにしようかしら」

…なんてキツいジョークのやりとり。

でもほんと。

不発弾も地雷も、みんなアクセサリーになってしまえばいいのに。

 

 

定員をはるかに上回るぎゅう詰めの会場は、熱気がすごくて師走だというのに冷房ON !

さいごは小グループにわかれて参加者どうしの話し合いも行われました。

新たなネットワークが結ばれているといいな。

 

ほそえさちよ編集者や、鈴木真紀編集者とも「世界の子どもたちの問題に関心をもって積極的に働いている人達があんなにいるんだねえ」と、興奮気味に話しました。

胸が ほかほか温まって帰宅。

うむ、世の中、捨てたもんじゃないぞ。

 

……

 

その直後に。

アフガニスタンで中村哲医師が殺害されたというニュースがとびこんできました。

 

現地の人達が自力で用水路を掘れるように、学び続けられるようにと、息長く、ひとの体温をつたえる本物の支援をつづけてこられた方なのに。

 

シャンティもまたアフガニスタンの子どもたちの教育支援をしています。

銃撃事件のあった場所のそばに事務所があるそうです。

 

絵本とか、子どもの笑顔とか。

かわいいもの、きれいなもの、夢や憧れ。

そういった、のんきで のほほんとしたもののために、わたしは日々腐心しています。

まったく、お気楽な稼業です。

なのにときどき、そんなことをしている場合か、それでもこの世界を信じられるのかと、刃を突きつけられるようなことが起きてしまいます。

のほほんをつづけていくことが、それだけで「闘い」になりうる。

そんな社会は、まっぴらなのに。

 

シャンティの若いスタッフは、中村哲さんの訃報をうけた夜に、「いっしょにおいでよ」を読み返したそうです。

 

日々の自由なくらしを手放さないこと。

よいもの、美しいものをたいせつにしていくこと。

それもテロへの意思表示だと、画家のパスカルは言っていました。

 

 

 

さいごに、シャンティからもらった冊子(2019年10月秋号)を。

 

支援地域にとどけた絵本の冊数が書いてあります。

その1冊1冊を、数十人、数百人の子どもたちが繰り返し繰り返し読むのだそうです。

 

 

アフガニスタンの水場につどう子どもたちの写真もありました。

子ども図書館に通う少女の、おだやかな日常のエピソードとともに。

 

 

 

 

紙の本は プチ・アート

 

「ハンカチともだち」の見本があがってきました。

ぼちぼち、全国の書店に並ぶとおもいます。

 

長い時間をかけて作ってきた本ができると、わたしは凹みます。

編集者には苦笑され、がっかりされる困った性癖です。

 

そんなわたしを救ってくれるのが、本の美しさ。

きれいな装丁の本だと、あまり凹まずにすむのです。

 

この「ハンカチともだち」も、そう。

布のような風合いの帯については、前にも自慢しました。

しかも、校正のときより一段と布っぽい。

山口郁子編集者が印刷立ち会い(←印刷機の横に長時間貼りついてニラミをきかすこと)でインクの盛りを調整してくれたおかげでしょう。

もちろん、印刷所の職人さんたちの熟練技があってこそ。

 

本を手にとると、帯の部分は、ざっくり木綿の肌ざわり。

いっぽう表紙カバーは、さらりとなめらかな絹のよう。

触感のちがいが新鮮です。

 

表紙をひらくと広がるのは、ほんわかピンクの見返し。

はい、ハンカチをイメージしています。

 

 

さらに見返しをひらくと、右側はただのピンク。

でもこれ、見返しと同色同濃度を指定して印刷しているんですよ。

さいしょは白い紙のままでしたが、なんとなく間が抜けていたため、デザイナー判断でこうなりました。正解です。

 

ピンクの面積を増やせば、めだってくるのが、ミントグリーン。

「ともだち」の言葉が、ぽんと浮きあがりました。

著者名も出版社名も、割愛。すんすんと、お話の世界に入っていってほしいので。

 

 

ピンクは、主人公 はるちゃんのテーマカラー。

だから、しばらくピンクが多い頁がつづきます。

 

そして9頁めに、副主人公のミヨンが さりげなく登場。

文章ではミヨンの名前をださず、ことさらに注意を促すこともしませんが、ミヨンの靴下はミントグリーンです。

 

ここをみて、わたしは、はっとしました。

予想していた以上に、ミヨンが印象的だったのです。

そう、紙面の左端にもミントグリーンがあるからですよね。

 

 

左端だけではありません。

本の表紙とカバーは、本文用紙より大きいため、天地にもこの色がのぞきます。

まるで額縁のように。

 

 

たまたまなのか、内なる必然ゆえか、副主人公ミヨンがでてくるのは左頁が多い。

そしてこの本の装丁は、左の表4(裏の表紙のこと)が きっぱりミントグリーン。

読む人のからだが揺れ、本が揺れ、目がうごくたびに、ミントグリーンの額縁が有効に作用するというしかけ。

 

う〜む。

才ある装丁家は直感的につかみとったのでしょうか。

本の内容をしっかりサポート&一段ひきあげていただきました。

 

 

こうして紙の本は、子どもが日常的に出会う ささやかな美術品になるのだとおもいます。

小さな「美」の ふだんづかい。

とても大切です。

 

 

ハンカチともだち 本日印刷!

 

制作過程をたびたびご紹介してきた「ハンカチともだち」。ようやく印刷です。

 

写真は、過日、デザイナーの鈴木千佳子さんの事務所での表紙回りの紙選び。

初校と再校、すなわち、何種類か試し刷りをしてもらったものをくらべて検討しました。

 

 

ピンク色の表紙をめくると、おなじピンクの「袖」のわきに「見返し」が並びます。

文章や、あまり意味のある絵はない部分ですが、ここはいわばプロローグ。

どのように幕をあけ、本の世界へと誘うかについて、装丁家はとても神経をつかいます。

おなじピンクであっても、どれくらいの濃度がよいのかと熟考する千佳子さん。

 

 

そしてこのとき、表紙カバーに巻く「帯」の用紙もきめました。

後日、刷り見本が送られてきたので、さっそく巻いてみると…、

おお、なんだか布っぽい!

(ちなみに下の葉っぱ模様は北欧柄テーブルクロス……じゃなくて、コヨセさん描く「おたすけこびと」のラフです)

 

 

このお話は、ふしぎなハンカチの物語。

遠目では違いがわかりませんが、手に取ると、たしかにざらっと布のようだし、ぼんやりと下の絵が透けるあたりがほんとにハンカチみたい。

うれしくなりました。

ちょっとお高い用紙だそうです…。

ありがとう、アリス館♡

 

 

…と、そんなふうに。

私は本に着せるお洋服選びにウキウキしてだけいたのかといえば、とんでもなくて…。

大量の修正箇所と闘っておりました。

 

ごらんください、カラフルな付箋たちを。

七夕の短冊ではなく、新たな修正が生じるたびに色をかえていたためです。

ピンク=絵の修正、緑=文章再考、紫=絵の修正2回目…などのように。

 

 

担当編集者の山口郁子さんだけでなく、編集部全員のチェックが入ります。

 

「○ページのツインテールの女の子のシャツにはフリルがありましたが、○ページで同じ女の子のシャツにフリルがありません」

「絵の具かばんの形状が ○ページと○ページで違います」

「ずぼんの裾からのぞく靴下の色、塗り忘れです」

「主人公の女の子がハンカチが入れているのは右のポケットのはずです」などなど…。

 

今回は、とくに鞄の形の修正頻発…。

「ちひろさんは 鞄に愛がないんですね」と山口さんに言われてしまいました。

作品が良くなる修正は楽しいけれど、自分のずさんさを思いしる修正は、楽しくない。(v_v)

子どもの頃、頁によって主人公の服や持ち物が違っているととてもがっかりしたものです。

それは避けなければ。

ありがとう、フォトショップ…泣。

 

 

今回は、校閲の方にもチェックをお願いしました。

ほら、人気の高かった (とくに業界内で) テレビ番組「校閲ガール」ですよ!

彼らはほんとうに地味にすごくて、しばしばお世話になっております。

 

かくして、付箋は本の上部ばかりか横にも底部にも増殖し、ウニの触手と化していったのであります。

 

 

それでもどうにか、ようやく、めでたく校了。

「校了」というのは、このさき、著者はなんにもできないよ〜! あきらめなさ〜い!という宣言であります。

 

そして本日、印刷の運びとなりました。

あとは印刷と製本の職人さんたちの腕を信じるばかり。

山口さんも、印刷所に立ち会いにでかけ、微妙なインクの出具合を調整してくれています。

 

多くの方に手を添え、心を傾けていただいてできあがる本ですが、読まれなければ、ただの紙ゴミ。

資源のむだにならず、読む方の心に届きますように…。

 

見本は二週間後にできあがるそうです。

 

 

 

これまでのお話を読んでくださる方は、こちらからどうぞ。

 

  http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=67

 

    http://chihiro-nn.jugem.jp/?month=201904

 

    http://chihiro-nn.jugem.jp/?month=201905

 

 ぁhttp://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=89

 

    http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=95

 

 

 

プリンハロウィンの Trick or Treat!

 

 

今年のプリンちゃんハロウィンは、大田区千鳥のTeal Green in Seed Villageにて。

 

準備をととのえ、からっぽの店内で子どもたちがやってくるのを待つ魔女ふたり…。

 

 

すると、くるわくるわ…。

黒猫、海賊、妖精、コウモリ、蜜蜂、かぼちゃ、おばけ、小悪魔、ウサギ、人魚のアリエル、エルサ、ジャスミンなどなど…。

 

 

 

まずは「プリンちゃんのハロウィン」を読みます。

はじめての子も、絵に仕掛けられた小さな謎をちゃんと読みとってくれました。

 

 

それから工作タイム。

 

 

プリンちゃんのきせかえシートから、気に入ったものを各自チョキチョキ。

 

 

 

 

 

いいなあ、この真剣な表情。

かなり定員オーバーだったためヒヤヒヤでしたが、ハサミは早いうちから使ったほうがよいというのが、たかおさんと私の考えです。

 

 

室内に入りきれなかったお姉さんたちは、中庭で黙々と作業。

キラキラペンも使って装飾的にしあげます。

 

 

切ったパーツを、黒い紙袋にぺたぺた貼りましょう。

 

 

ほら。いろんなプリンちゃんバッグができました。

 

 

このハロウィンバッグをもって、お店の外へ出ていくと…

(あら、エレガント♡ お姫さまドレスでの階段の降りかた、ちゃんとわかっていますね  (^o^)

 

 

外で待ちかまえているのは、コワモテの魔女2名。

ナマハゲではありません、ハロウィンのご近所巡り立哨当番であります。

旗のかわりにホウキを振って、子ども達の交通安全を守ってくれました。

 

 

かわいいエルフも協力してくれました。耳にご注目。

(このエルフは平澤朋子という人間名で絵本作家をしています)

 

 

あらかじめお願いをしていたご近所さんを回ります。

"Trick or Treat!  おかしくれなきゃ、いたずらするぞ〜!"

「あらまあ、いたずらしないでね」と、にこにこ顔でお菓子をくださいます。

さいごに大きな声で「いたずらしませーん!」とご挨拶をしたら

「みんな、いい大人になってね」と優しい声で言われましたっけ。

 

 

お店に戻って、サイン会。

私が たかおさんに無理難題をふっかけたのであります。

「せっかくだから、子どもたちの仮装どおりのプリンちゃんを描いてあげたら?」

たかおさんは「え〜、そんなのできるかなあ…」と困惑していましたが、

これ、このとおり!

 

 

「この紫がかっこいいから、ちゃんと描いてね」などのご注文にも…

 

 

「黒猫バッグも描いてください」のご要望にも、ホイホイ応じます。

 

 

提案した私も、これほど見事に仮装プリンちゃんが描けるとは思いませんでした。

たかおゆうこのサイン画力に、脱帽〜。

 

 

「Trick or Treat。おかしくれなきゃ、いたずらするぞ!」

このセリフを何回も言いつづけた子どもたち。

袋のなかにお菓子がたっぷりたまってくると「おかしは、いっぱいあるから、もういいや。いたずらしようかな。どんないたずら、しようかな」と目をくりくりっと動かして考えはじめていました。

 

あはは…。

みんな、適度にいい子でいてね〜。

(^o^;)

 

 

たのしい1日でした。

店主ご夫妻も、魔王と、モンブランばあばに仮装。

本の売上げも上々だったようです〜。(^o^)

 

 

 

新しいカメラで素敵な写真をたくさん撮ってくれたモネさん、ありがとう☆

 

 

とことんプリン展示

 

 

22日からはじまる白岡のプリンちゃん原画展示の準備をしてきました。

 

展示から関わることはあまりないのですが、今回は資料展示が多いので、たかおゆうこさんとともに企画から参加をしています。

 

この際、子どもたちの絵心も刺激したいというのが、わたしたちと主催者の密かな願い。

そこで、こんなに汚い(?)パレットも、わざわざ展示しています。

 

でもこれ、汚いどころか、宝のパレットなんですよ。

右の丸いパレットは、プリンちゃんのからだを描く絵の具を並べたパレットなんですって。

中央にはいろんな黄色が並んでいます。ほほお、青も使うんですね。

 

そして左の丸いパレットは、プリンちゃんの頭のカラメル部分専用のパレット。

ピンクの絵の具も見えますね。

上の大きな四角いパレットは、プリンちゃん絵本の背景用のパレットだそうですよ。

 

つまり、たかおさんは、じぶんの描く絵本ごとにいくつものパレットを用意し、それを大切に保管しているということ!

 

子どもたちは、学校の授業でパレットを綺麗に洗うようにと習いますよね。

たしかに、しつけとしては正しいのだけど、プロの絵描きはそんなもったいないことはしないのでありま〜す。(^。^)

 

ふうーん…。

と、小さな小さな小骨がのどをひっかいたくらいの違和感をおぼえておいてほしい。

なぜなら、絵を描くことは、ひとり旅に似ているものだから。

いつ、どこへでかけて、なにをみつけて、どう描くかも、すべてじぶんで決める。

だから、そのための旅の道具も、じぶんで決める。

いつかそのことに気づいてくれる子どもは、きっといるだろうと信じています。

ささやかなことですけどね。

 

「へぇぇぇ、そうなんですか…」と、ぐちゃぐちゃパレットをしみじみ感心して見入っているのは、今回の責任者の安藤さん。

わたしたちが投げる わがままツブテの山をガシッとうけとめて、ご尽力くださっています。

 

 

壁面に並ぶのは、シリーズ1冊め「プリンちゃん」の原画全点。

すべてキャプション(文章)つき。

これをよみながら会場をまわれば一冊まるごと味わえるという寸法です。

 

 

このほか、たかおさん手作りのお菓子の家や、二人で集めたガラスの器、食べ歩いたスイーツ写真や、そもそもの始まりである、わたしの「シナリオ」や小さなラフも展示しました。

見どころは、たかおさんのツッコミメモや落書き。(^_^;)

 

 

何点かはコピーをつくってもらって、手に取ってめくってもらえるようにするつもりです。

(かくして安藤さんの夜なべ仕事が増えていく…)

 

そしてもちろん、しらおかいちごくらぶの布絵本も展示してあります。

(写真は、仮に並べてみたものです。本番ではもっとかっこよく展示しますからね)

 

 

布絵本がガラスケースの中に入ってしまい、来館した子どもたちにさわってもらえないことを悲しむ いちごくらぶの皆さんは、なんと「さわって遊べる 布きせかえプリンちゃん」を作ってくれました。

 

この展示のために、わざわざ!

3セット、あります!

みんな、遊びにきてね〜。

 

 

原画展示は22日から。

27日には作家トークも行います。

 

午前の部の子どもたち対象ワークショップは準備の都合上、定員を増やしづらいのですが、午後の部は会場を拡張することも可能です。どうぞお出かけください。

 

詳しい情報とお申し込みは、こちらから↓

http://www.city.shiraoka.lg.jp/12810.htm

 

おたすけ会議 7

 

 

9月の定例おたすけこびと会議。

 

都心駅前一等地のハイテクオフィスビルに現れたコヨセさんは、

打ち合わせ机の上に、どん! 

ホームセンターなどで売っているツールボックスを置きます。

 

 

その中には、新聞の古紙回収袋。

その中身は、なんと…

 

 

おたすけこびとのラフと原画であります! (>_<)ゞ

 

 

以前は、クリーニング屋さんのエコバッグを肩から提げて通ってきていましたっけ。

このツールボックスに変えたときは得意そうだったなあ。

 

原画を傷めないようにふんわり丸めて格納できるし、雨がふっても平気、混雑した電車内でも つぶされる心配は皆無。

たしかに重機絵本の画家にふさわしいのかもね、ツールボックス…。

 

それにしたって「古紙回収袋」は、ちと ひどいよねえ…。苦笑。

「くれぐれも駅や電車に置き忘れないでくださいね」とヒヤヒヤの編集部でありました。

 

 

さて。

「本絵」の画業が、すこしずつ進んでいます。

 

まずは、ペン入れ。

細かな線が、こんなにびっしりと…。

まだ色が塗られていない原画は、精密な設計図のようにもみえます。

 

 

「このヘリコプターはね、ロビンソンR-22 なんだよ」と、うれしそうに話すコヨセさん。

「…ふうん…」と、反応の薄い わたしたち…。

 

 

↓ ほおほお、これね。(いま調べました。メーカーサイト写真です)

 ヘリコプターに関心のある人なら、必ずしっているであろう機種なのだとか。

 トンボみたいで、かっこいいですね。

 

 

ヘリコプターだけでなく、おたすけこびとは重機各種を駆使して活躍します。

でも、じつはとても小さな世界の物語です。

そのことを読者にわかってもらうために、大きさの指標となるべき物体を画面のところどころに配置しています。

葉っぱや小石や、カエルや 昆虫など。

葉っぱはいろんな大きさのものがあるので、指標としては物足りないときもあり、ここではトンボがその役割を担っています。

 

 

「でも、トンボのほかにも、もうひとつ、ほしいですね。たとえば、テントウムシとか…」

と、若手編集者TKが呟きました。

 

そのとたん、

「なるほど。テントウムシは可愛いかも!」

「テントウムシにも色や大きさがいろいろあるよね」

「赤に黒? 黒に赤?  黄色もいるよ。畑の敵はニジュウヤホシテントウ」

四人が口々にしゃべりだし、アイディアの球をぽんぽん打ち合うさまは、あたかも卓球ダブルスのラリーのごとし。

その結果、かわいい案が採択されました。

 

 

ほらほら、この子。

いちばん有名な ナナホシテントウ。

体長は ざっと 8ミリ前後。

 

 

いっぽう、おたすけこびとの身長は 25ミリ。(←ちゃんと決まっているのです)

でね、ヘルメットの直径が、約8ミリなんですよ〜。

 

だからね。

じぶんのヘルメットの上にテントウムシをのっけて「ダブルヘルメット」にして喜んでいるこびとがいたら楽しいなあ…って。

満場一致の拍手で、コヨセさんにお願いいたしました。

 

 

本のストーリー展開とはまったく関係のないお遊びですが、わたしたちは、繰り返し本を読む子どもたちが「10回目に気がついてくれれば」と思う事柄をいくつも仕込んでいます。

それはもちろん、わたしたちの楽しみでもありますし。

 

本ができあがった暁には、ダブルヘルメットのこびとを見つけてくださいね。

(^o^)

 

 

 

 

 

ハンカチともだち 初校で幽体離脱

 

ハンカチともだちの初校がでました。

 

初校というのは、初回の校正紙のこと。

このあと再校、たまに三校とつづきますが、校正紙はすべての内容が本番用の紙に本番用のインキで刷られているものです。

製本はされていないので、大きな紙を切って折って組み合わせてチェックをします。

(正しくは、編集者が切って折って組み合わせて、届けてくれます)

 

すでにもう何十回も、自宅のプリンターや、出版社のプリンターで刷られたものを見ているのに、やはり本番用の紙とインキとなると印象がちがいます。

 

ふしぎなもので、なにかがちょっと変わるだけで、より客観的に眺めることができるし、

今ならまだ小さな修正は可能なので、冷徹な目でみっちり検討しなければなりません。

さいごのさいごまで、気を抜かずに粘ることが、とてもとても大事。

 

 

とはいうものの…。

翻訳ではなく、100%オリジナルの本の場合。

このあたりから、わたしに困った変化が起こるのが常なのであります。

 

客観的になったじぶんが、とりかえしのつかない欠点に気づいてしまうのではないかという懸念。

正直にいえば、ふん、ツマラナイ…と思ってしまうのではないかという不安。

そういう怯えが、すきま風のように ひたひたと忍び入ってくるゆえでしょう。

本が完成にちかづくと、小心者のわたしの魂は、逃げだそうとします。

 

そう。幽体離脱みたいなかんじ。

内向きに黙々と文を書き絵を描いていたときのわたしから、魂が すぅ〜っと ぬけだしていき、抜け殻 (←校正紙)を空中から ぼんやり見おろしているようなきもちになるのです。

 

しかしながら、本はまだ完成していません。

編集者にとっては、いまがまさに正念場。

「漢字の統一はこれでいいですか?」「ルビのもれがありました!」「著者紹介はいかがでしょう?」「今さらですが、コレはアレでしょうか?」など頻繁に連絡がとどきます。

 

あ〜、よきに計らっといてくださ〜い…と言いたくなる投げやり感を押し入れにつっこみ、大人の分別と仕事人の意地を総動員して、幽体離脱しつつある魂のしっぽを両手でつかみ、ひきずりおろします。

 

なんだかなあ…。

長い時間をかけて紡いできたものが、ようやくかたちになるのだから、すなおに喜んでいればいいのにね。

つくづくトホホな貧乏性です。

 

 

ん。

でもたまには、ニヒニヒしてますよ。

枕に顔をうずめてね。

 

 

布絵本のこと。著作権のこと。

 

 

プリンちゃんは、ふしぎな絵本です。

ひとたび、その魅力にとらわれると、じぶんでも手をうごかして、プリンちゃんを作りたくなるらしい…。

 

この絵本を「あそび場絵本」と呼んでいる私は、しめしめと口元がゆるみます。

かつて玩具のデザイナーだった絵描き たかおゆうこの遊び心が滲みだしているにちがいありません。

 

そんな たかおさんと私は、理論社HPのプリンちゃんの部屋から、きせかえシートをダウンロードして、おうちで遊んでもらえるようにしました。

手作りプリンちゃんを掲載するコーナーもありますよ。

みなさま、ぜひどうぞ!

 

 

…とまあ。

個人利用はまったく問題がないのですが。

団体や公共の場での「二次使用」となると、気になるのが「著作権」。

 

著作権にたいする理解が浸透してきたため、どこの出版社にも図書館やボランティア団体からの問合せが頻繁にあるそうです。

その大半は、きわめて良心的な使用だし、とてもありがたいお話です。

ほとんどノープロブレム。

でも、たま〜に、ぎょっとするような非常識な二次使用もあるのでフィルターは必要なのかもしれません。悩ましいところです。

 

プリンちゃんについても、布絵本や大型絵本、ペープサートや紙芝居、あやつり人形を作ってもいいですかとのお訊ねが、しばしば舞い込みます。

 

 

問合せの窓口となるのは編集部ですが、私の著書については、以下の三点を条件に編集者と相談を行っています。

 

  その1 : 利益を求める使用でないこと。(←別途契約が必要)

  その2 : 出典をあきらかにすること。

  その3 : 作品世界を尊重すること。

 

 

1と2はともかく、3が難しいんですよね〜。

絵本を人形劇やペープサートにすれば、どうしたって違うものになります。

紙にインクで印刷されたものを、布絵本にすれば、色も質感もかわるのは当然のこと。

それでも「作品世界を尊重する」とは、どういうことなのか…。

 

結局は主観的な判断になってしまうわけですが、たかおさんと私を驚嘆せしめた例をひとつ、ご紹介しましょう。

 

埼玉県白岡市の布絵本ボランティアグループ「しらおかいちごくらぶ」から布絵本制作の打診があったのは、いまから数年前。

上記3項目をお伝えして、ときどき進捗状況の報告をうけてはいたものの、わすれた頃にできあがったものをみて、口がぽかんとあきました。

 

たかおさんは「色の魔術師」とよばれるほど微妙で美しい色づかいをみせる絵描きです。

いちごくらぶは、果敢にも布でその色に挑んだのであります!

 

 

なるべく似た色や風合いの布をさがし求め、なければ、染めて切って縫って…。

文章は、絵本とおなじ場所に チクチク刺繍して…。

ひとつひとつのこだわりに、唸ってしまいます。

それにしても、おかしの家のビスケットのドア、おいしそう。

 

 

ひと針、ひと針の豊かな時間がしのばれます。

いやいや、この麦の穂のすごいこと…。

 

 

きらきらビーズやリボンにも、布手芸ならではの魅力がたっぷり。

絵本そのままではないけれど、スピリットは正しく変換されています。

それこそが、もっとも大切なところでしょう。

 

 

透明水彩で描かれた水の中の風景は、アップリケのお魚やあぶくを縫いつけたうえに水色の紗布をかぶせるとはね〜。

 

 

ぴったりの端布をみつけるために、どれほどの手間と労力と愛情がかけられたことか…。

 

 

絵本の巻末に掲載した プリンちゃんの歌の楽譜まで、このとおり… 感涙。

 

 

これを布絵本の合格基準レベルといたします。

…なあんていったら、イジワルですよね。わかってますとも。

まずは愛よ。愛があれば、きっとだいじょうぶよ。(?)

 

いずれにしても、これが金字塔となることはまちがいありません。

全国のチクチクアーチストのみなさん、挑戦してみてくださーい。(^o^)

 

とはいえ。

いちごくらぶのみなさんは、じぶんたちの技術をみせびらかすために、この布絵本をつくったわけではありません。

 

あくまでも図書館ボランティアなので、布絵本は一般に貸し出します。

子どもたちがカウンターで借りておうちに持ち帰って、ひとりじめできるんですよ。

ああ、なんと贅沢な…。

 

じつはこれ、だいぶ前にできあがっていたのですが、質の高さに仰天した たかおさんと私が「え〜、なんか もったいな〜い。ケチャップとかついちゃったらどうするの〜」などとケチなことを言いだし、まずは、10月にひらかれる プリンちゃんの原画展において、お披露目展示をしてもらうことにきめました。

それからは、一般貸し出ししちゃうんですよ〜。(←しつこい)

へへん、どうだい、この太っ腹!

 

 

そんなわけですから。

まずは、原画展におこしくださいね。

 

原画展のおしらせは、こちらから↓

https://chihironn.com/info/2783516

 

 

北海道子どもの本のつどい 2019 in 札幌

 

200名を超えるみなさんがお越しくださいました。

日々、そして長年にわたり、子どもの本の活動をしてきた方が多いため、打てばふるふると共鳴して響くような聴衆でした。

 

いっしょに おいでよ」の冒頭をよみはじめたとたん、しずまりかえった重たい空気が印象に残っています。

ひみつのビクビク」や、その著者サンナさんの最初の絵本「ジャーニー 国境をこえて」の話にも深く耳を傾けていただきました。

 

あれやこれやと、子どもと本をめぐるお話をして、ときには、しんみりしたり考えこんだりもしましたが、さいごはやっぱり楽しくはじけて、プリンちゃん遊び!

 

そしたら、こんな写真が撮れたという次第です。

なんだか気恥ずかしいですが、近年、ライブでは終了後にステージ奥の高い位置から 客席とパフォーマーを一緒に収める写真撮影が流行っているのですって。

運営委員が若返ると、やることも若いのよね、北海道…。

 

みなさん、とってもいい笑顔。

脚立の上から撮影してくれたカメラマンは、森の写真家、小寺卓矢さんです。

 

小寺卓矢さんには、司会もしていただきました。

ついでに、プリンちゃん着せかえにも参加してもらいました。

堀川真さんかとうまふみさん作の プリンちゃんもあるんですよ。

どれが誰のか、わかるかな〜?


  

 

 

 

その後のサイン会も、活動報告の分科会も終わり、そろそろ会場を片付けるという時間。

片隅でひとり黙々とプリンちゃんで遊ぶ スタッフさんを発見!

声をかけてもふりむかず、もはや没我の境。

うんうん、たのしいよね、プリンきせかえ…(^o^)

 

手もとの灯火で一隅を照らし、少々の逆風にはへこたれず、子どもたちを信じて手渡していくためにも、まずは大人が本の世界を心からたのしむ。

その大切さをしっている、ハイカロリーな大人たちの集まりでした。

 

くわしい恐竜図鑑、ただし名前を隠します

 

コアフイケラトプス、カイウアジャラ、キアンゾウサウルス、ユティラヌス、ディアマンティナサウルス、プレストスクス、パラウア、アンペロサウルス、デイノケイルス、リノレックス…… 以上、10匹。

 

ただいま進行中の「きょうりゅうたちも ペットをかいたい」にでてくる恐竜の名前です。

ごぞんじのものはありますか?

わたしは、ひとっつも ありませーん!

 

やんちゃな人間の子どもたちを パワフルなきょうりゅうとして描く愉快な絵本「きょうりゅうたち」シリーズ

じつは、恐竜図鑑でもあります。

それもかなり上級者向けの。

 

一冊ごとに いろんな子どもたち=恐竜が10匹ずつ描かれる このシリーズはアメリカで20冊近く刊行されているロングセラー。

日本語版も「きょうりゅうたちもペットをかいたい」が6冊め。

すでに60種類の恐竜が登場しているのです。

資料を漁り博物館に問い合わせて日本語名を調べあげる 西塔香絵編集者もマニアの域か…。

 

日本語名がわかったら、つぎは、それを隠す場所を決めます。

というのも、図鑑とちがって、恐竜の名前は絵のなかにさりげなく溶け込ませてあるので。

 

↓たとえばほら、動物園からトラを誘拐してきちゃった この腕白恐竜の名前。

英語名が しっぽの線に沿わせてあったので、日本語名はベンチの背に刻む予定です。

 

 

 

↓拡大したものを ごらんください。

   色や大きさは、まだこれから調整しますが、すでにとても自然でしょう。

 

 

これまでのほかの本では、きょうりゅうちゃんの よだれかけの刺繍のように見せたり…

 

 

聖歌隊がもつ楽譜の曲名のように見せかけたこともあります。

 

 

原書の英語名が 冷蔵庫のマグネットで綴ってあったときには、闘志を燃やしましたぞ。

むむ、もっと面白いことをした〜い、って。

そこで、冷蔵庫の中から ぼや〜っと光る白い文字にしてみました。

…若干、凝り過ぎ…か…な…(^_^;) いや、でも、おもしろいよと、言ってほしい…。。

 

 

わざと見つけやすいところに置いてみたり、ちょいと難易度をあげてみたり。

 

とはいえ、わたし自身が文字をかいているわけではありません。

ひとの絵を壊さずに、すんなり溶け込む文字をかくのって、とても難しいのです。

原作者にも満足してもらえるものでなくてはなりません。

それゆえ「書き文字」ではなく「描き文字」といい、絵本の世界には欠かせない才能です。

 

このシリーズの描き文字担当は齋藤美幸さん、その色や大きさを微妙に調整してくれるのは装丁家の木下容美子さん。

プロの腕に頼って、遊んでいます。

絵本をひらいてくれる方の反応を、みんなで思いうかべながら。