おたすけ会議 7

 

 

9月の定例おたすけこびと会議。

 

都心駅前一等地のハイテクオフィスビルに現れたコヨセさんは、

打ち合わせ机の上に、どん! 

ホームセンターなどで売っているツールボックスを置きます。

 

 

その中には、新聞の古紙回収袋。

その中身は、なんと…

 

 

おたすけこびとのラフと原画であります! (>_<)ゞ

 

 

以前は、クリーニング屋さんのエコバッグを肩から提げて通ってきていましたっけ。

このツールボックスに変えたときは得意そうだったなあ。

 

原画を傷めないようにふんわり丸めて格納できるし、雨がふっても平気、混雑した電車内でも つぶされる心配は皆無。

たしかに重機絵本の画家にふさわしいのかもね、ツールボックス…。

 

それにしたって「古紙回収袋」は、ちと ひどいよねえ…。苦笑。

「くれぐれも駅や電車に置き忘れないでくださいね」とヒヤヒヤの編集部でありました。

 

 

さて。

「本絵」の画業が、すこしずつ進んでいます。

 

まずは、ペン入れ。

細かな線が、こんなにびっしりと…。

まだ色が塗られていない原画は、精密な設計図のようにもみえます。

 

 

「このヘリコプターはね、ロビンソンR-22 なんだよ」と、うれしそうに話すコヨセさん。

「…ふうん…」と、反応の薄い わたしたち…。

 

 

↓ ほおほお、これね。(いま調べました。メーカーサイト写真です)

 ヘリコプターに関心のある人なら、必ずしっているであろう機種なのだとか。

 トンボみたいで、かっこいいですね。

 

 

ヘリコプターだけでなく、おたすけこびとは重機各種を駆使して活躍します。

でも、じつはとても小さな世界の物語です。

そのことを読者にわかってもらうために、大きさの指標となるべき物体を画面のところどころに配置しています。

葉っぱや小石や、カエルや 昆虫など。

葉っぱはいろんな大きさのものがあるので、指標としては物足りないときもあり、ここではトンボがその役割を担っています。

 

 

「でも、トンボのほかにも、もうひとつ、ほしいですね。たとえば、テントウムシとか…」

と、若手編集者TKが呟きました。

 

そのとたん、

「なるほど。テントウムシは可愛いかも!」

「テントウムシにも色や大きさがいろいろあるよね」

「赤に黒? 黒に赤?  黄色もいるよ。畑の敵はニジュウヤホシテントウ」

四人が口々にしゃべりだし、アイディアの球をぽんぽん打ち合うさまは、あたかも卓球ダブルスのラリーのごとし。

その結果、かわいい案が採択されました。

 

 

ほらほら、この子。

いちばん有名な ナナホシテントウ。

体長は ざっと 8ミリ前後。

 

 

いっぽう、おたすけこびとの身長は 25ミリ。(←ちゃんと決まっているのです)

でね、ヘルメットの直径が、約8ミリなんですよ〜。

 

だからね。

じぶんのヘルメットの上にテントウムシをのっけて「ダブルヘルメット」にして喜んでいるこびとがいたら楽しいなあ…って。

満場一致の拍手で、コヨセさんにお願いいたしました。

 

 

本のストーリー展開とはまったく関係のないお遊びですが、わたしたちは、繰り返し本を読む子どもたちが「10回目に気がついてくれれば」と思う事柄をいくつも仕込んでいます。

それはもちろん、わたしたちの楽しみでもありますし。

 

本ができあがった暁には、ダブルヘルメットのこびとを見つけてくださいね。

(^o^)

 

 

 

 

 

ハンカチともだち 初校で幽体離脱

 

ハンカチともだちの初校がでました。

 

初校というのは、初回の校正紙のこと。

このあと再校、たまに三校とつづきますが、校正紙はすべての内容が本番用の紙に本番用のインキで刷られているものです。

製本はされていないので、大きな紙を切って折って組み合わせてチェックをします。

(正しくは、編集者が切って折って組み合わせて、届けてくれます)

 

すでにもう何十回も、自宅のプリンターや、出版社のプリンターで刷られたものを見ているのに、やはり本番用の紙とインキとなると印象がちがいます。

 

ふしぎなもので、なにかがちょっと変わるだけで、より客観的に眺めることができるし、

今ならまだ小さな修正は可能なので、冷徹な目でみっちり検討しなければなりません。

さいごのさいごまで、気を抜かずに粘ることが、とてもとても大事。

 

 

とはいうものの…。

翻訳ではなく、100%オリジナルの本の場合。

このあたりから、わたしに困った変化が起こるのが常なのであります。

 

客観的になったじぶんが、とりかえしのつかない欠点に気づいてしまうのではないかという懸念。

正直にいえば、ふん、ツマラナイ…と思ってしまうのではないかという不安。

そういう怯えが、すきま風のように ひたひたと忍び入ってくるゆえでしょう。

本が完成にちかづくと、小心者のわたしの魂は、逃げだそうとします。

 

そう。幽体離脱みたいなかんじ。

内向きに黙々と文を書き絵を描いていたときのわたしから、魂が すぅ〜っと ぬけだしていき、抜け殻 (←校正紙)を空中から ぼんやり見おろしているようなきもちになるのです。

 

しかしながら、本はまだ完成していません。

編集者にとっては、いまがまさに正念場。

「漢字の統一はこれでいいですか?」「ルビのもれがありました!」「著者紹介はいかがでしょう?」「今さらですが、コレはアレでしょうか?」など頻繁に連絡がとどきます。

 

あ〜、よきに計らっといてくださ〜い…と言いたくなる投げやり感を押し入れにつっこみ、大人の分別と仕事人の意地を総動員して、幽体離脱しつつある魂のしっぽを両手でつかみ、ひきずりおろします。

 

なんだかなあ…。

長い時間をかけて紡いできたものが、ようやくかたちになるのだから、すなおに喜んでいればいいのにね。

つくづくトホホな貧乏性です。

 

 

ん。

でもたまには、ニヒニヒしてますよ。

枕に顔をうずめてね。

 

 

布絵本のこと。著作権のこと。

 

 

プリンちゃんは、ふしぎな絵本です。

ひとたび、その魅力にとらわれると、じぶんでも手をうごかして、プリンちゃんを作りたくなるらしい…。

 

この絵本を「あそび場絵本」と呼んでいる私は、しめしめと口元がゆるみます。

かつて玩具のデザイナーだった絵描き たかおゆうこの遊び心が滲みだしているにちがいありません。

 

そんな たかおさんと私は、理論社HPのプリンちゃんの部屋から、きせかえシートをダウンロードして、おうちで遊んでもらえるようにしました。

手作りプリンちゃんを掲載するコーナーもありますよ。

みなさま、ぜひどうぞ!

 

 

…とまあ。

個人利用はまったく問題がないのですが。

団体や公共の場での「二次使用」となると、気になるのが「著作権」。

 

著作権にたいする理解が浸透してきたため、どこの出版社にも図書館やボランティア団体からの問合せが頻繁にあるそうです。

その大半は、きわめて良心的な使用だし、とてもありがたいお話です。

ほとんどノープロブレム。

でも、たま〜に、ぎょっとするような非常識な二次使用もあるのでフィルターは必要なのかもしれません。悩ましいところです。

 

プリンちゃんについても、布絵本や大型絵本、ペープサートや紙芝居、あやつり人形を作ってもいいですかとのお訊ねが、しばしば舞い込みます。

 

 

問合せの窓口となるのは編集部ですが、私の著書については、以下の三点を条件に編集者と相談を行っています。

 

  その1 : 利益を求める使用でないこと。(←この場合は別途契約が必要)

  その2 : 出典をあきらかにすること。

  その3 : 作品世界を尊重すること。

 

 

1と2はともかく、3が難しいんですよね〜。

絵本を人形劇やペープサートにすれば、どうしたって違うものになります。

紙にインクで印刷されたものを、布絵本にすれば、色も質感もかわるのは当然のこと。

それでも「作品世界を尊重する」とは、どういうことなのか…。

 

結局は主観的な判断になってしまうわけですが、たかおさんと私を驚嘆せしめた例をひとつ、ご紹介しましょう。

 

埼玉県白岡市の布絵本ボランティアグループ「しらおかいちごくらぶ」から布絵本制作の打診があったのは、いまから数年前。

上記3項目をお伝えして、ときどき進捗状況の報告をうけてはいたものの、わすれた頃にできあがったものをみて、口がぽかんとあきました。

 

たかおさんは「色の魔術師」とよばれるほど微妙で美しい色づかいをみせる絵描きです。

いちごくらぶは、果敢にも布でその色に挑んだのであります!

 

 

なるべく似た色や風合いの布をさがし求め、なければ、染めて切って縫って…。

文章は、絵本とおなじ場所に チクチク刺繍して…。

ひとつひとつのこだわりに、唸ってしまいます。

それにしても、おかしの家のビスケットのドア、おいしそう。

 

 

ひと針、ひと針の豊かな時間がしのばれます。

いやいや、この麦の穂のすごいこと…。

 

 

きらきらビーズやリボンにも、布手芸ならではの魅力がたっぷり。

絵本そのままではないけれど、スピリットは正しく変換されています。

それこそが、もっとも大切なところでしょう。

 

 

透明水彩で描かれた水の中の風景は、アップリケのお魚やあぶくを縫いつけたうえに水色の紗布をかぶせるとはね〜。

 

 

ぴったりの端布をみつけるために、どれほどの手間と労力と愛情がかけられたことか…。

 

 

絵本の巻末に掲載した プリンちゃんの歌の楽譜まで、このとおり… 感涙。

 

 

これを布絵本の合格基準レベルといたします。

…なあんていったら、イジワルですよね。わかってますとも。

まずは愛よ。愛があれば、きっとだいじょうぶよ。(?)

 

いずれにしても、これが金字塔となることはまちがいありません。

全国のチクチクアーチストのみなさん、挑戦してみてくださーい。(^o^)

 

とはいえ。

いちごくらぶのみなさんは、じぶんたちの技術をみせびらかすために、この布絵本をつくったわけではありません。

 

あくまでも図書館ボランティアなので、布絵本は一般に貸し出します。

子どもたちがカウンターで借りておうちに持ち帰って、ひとりじめできるんですよ。

ああ、なんと贅沢な…。

 

じつはこれ、だいぶ前にできあがっていたのですが、質の高さに仰天した たかおさんと私が「え〜、なんか もったいな〜い。ケチャップとかついちゃったらどうするの〜」などとケチなことを言いだし、まずは、10月にひらかれる プリンちゃんの原画展において、お披露目展示をしてもらうことにきめました。

それからは、一般貸し出ししちゃうんですよ〜。(←しつこい)

へへん、どうだい、この太っ腹!

 

 

そんなわけですから。

まずは、原画展におこしくださいね。

 

原画展のおしらせは、こちらから↓

https://chihironn.com/info/2783516

 

 

北海道子どもの本のつどい 2019 in 札幌

 

200名を超えるみなさんがお越しくださいました。

日々、そして長年にわたり、子どもの本の活動をしてきた方が多いため、打てばふるふると共鳴して響くような聴衆でした。

 

いっしょに おいでよ」の冒頭をよみはじめたとたん、しずまりかえった重たい空気が印象に残っています。

ひみつのビクビク」や、その著者サンナさんの最初の絵本「ジャーニー 国境をこえて」の話にも深く耳を傾けていただきました。

 

あれやこれやと、子どもと本をめぐるお話をして、ときには、しんみりしたり考えこんだりもしましたが、さいごはやっぱり楽しくはじけて、プリンちゃん遊び!

 

そしたら、こんな写真が撮れたという次第です。

なんだか気恥ずかしいですが、近年、ライブでは終了後にステージ奥の高い位置から 客席とパフォーマーを一緒に収める写真撮影が流行っているのですって。

運営委員が若返ると、やることも若いのよね、北海道…。

 

みなさん、とってもいい笑顔。

脚立の上から撮影してくれたカメラマンは、森の写真家、小寺卓矢さんです。

 

小寺卓矢さんには、司会もしていただきました。

ついでに、プリンちゃん着せかえにも参加してもらいました。

堀川真さんかとうまふみさん作の プリンちゃんもあるんですよ。

どれが誰のか、わかるかな〜?


  

 

 

 

その後のサイン会も、活動報告の分科会も終わり、そろそろ会場を片付けるという時間。

片隅でひとり黙々とプリンちゃんで遊ぶ スタッフさんを発見!

声をかけてもふりむかず、もはや没我の境。

うんうん、たのしいよね、プリンきせかえ…(^o^)

 

手もとの灯火で一隅を照らし、少々の逆風にはへこたれず、子どもたちを信じて手渡していくためにも、まずは大人が本の世界を心からたのしむ。

その大切さをしっている、ハイカロリーな大人たちの集まりでした。

 

くわしい恐竜図鑑、ただし名前を隠します

 

コアフイケラトプス、カイウアジャラ、キアンゾウサウルス、ユティラヌス、ディアマンティナサウルス、プレストスクス、パラウア、アンペロサウルス、デイノケイルス、リノレックス…… 以上、10匹。

 

ただいま進行中の「きょうりゅうたちも ペットをかいたい」にでてくる恐竜の名前です。

ごぞんじのものはありますか?

わたしは、ひとっつも ありませーん!

 

やんちゃな人間の子どもたちを パワフルなきょうりゅうとして描く愉快な絵本「きょうりゅうたち」シリーズ

じつは、恐竜図鑑でもあります。

それもかなり上級者向けの。

 

一冊ごとに いろんな子どもたち=恐竜が10匹ずつ描かれる このシリーズはアメリカで20冊近く刊行されているロングセラー。

日本語版も「きょうりゅうたちもペットをかいたい」が6冊め。

すでに60種類の恐竜が登場しているのです。

資料を漁り博物館に問い合わせて日本語名を調べあげる 西塔香絵編集者もマニアの域か…。

 

日本語名がわかったら、つぎは、それを隠す場所を決めます。

というのも、図鑑とちがって、恐竜の名前は絵のなかにさりげなく溶け込ませてあるので。

 

↓たとえばほら、動物園からトラを誘拐してきちゃった この腕白恐竜の名前。

英語名が しっぽの線に沿わせてあったので、日本語名はベンチの背に刻む予定です。

 

 

 

↓拡大したものを ごらんください。

   色や大きさは、まだこれから調整しますが、すでにとても自然でしょう。

 

 

これまでのほかの本では、きょうりゅうちゃんの よだれかけの刺繍のように見せたり…

 

 

聖歌隊がもつ楽譜の曲名のように見せかけたこともあります。

 

 

原書の英語名が 冷蔵庫のマグネットで綴ってあったときには、闘志を燃やしましたぞ。

むむ、もっと面白いことをした〜い、って。

そこで、冷蔵庫の中から ぼや〜っと光る白い文字にしてみました。

…若干、凝り過ぎ…か…な…(^_^;) いや、でも、おもしろいよと、言ってほしい…。。

 

 

わざと見つけやすいところに置いてみたり、ちょいと難易度をあげてみたり。

 

とはいえ、わたし自身が文字をかいているわけではありません。

ひとの絵を壊さずに、すんなり溶け込む文字をかくのって、とても難しいのです。

原作者にも満足してもらえるものでなくてはなりません。

それゆえ「書き文字」ではなく「描き文字」といい、絵本の世界には欠かせない才能です。

 

このシリーズの描き文字担当は齋藤美幸さん、その色や大きさを微妙に調整してくれるのは装丁家の木下容美子さん。

プロの腕に頼って、遊んでいます。

絵本をひらいてくれる方の反応を、みんなで思いうかべながら。

 

 

おたすけ会議 6

 

 

 

いよいよ、本描きに入りました。

下絵ではなく、本気、本物の原画描き。

 

まずは、前見返しから。

表紙をひらいたところにある、文章のない部分のことです。

本によっては、ただの無地であることも多いのですが、コヨセさんは、いつもこの見返しから絵を描きはじめます。

BGMがそっときこえてくるような感じ。

 

なんの絵か わかりますか?

そう、お弁当箱!

 

これは海老フライだね。こっちはポテトサラダかな。

スパゲティナポリタン。カレーピラフ。いちごとホイップクリームのサンドイッチ。

キャラ弁もあれば、フルーツ弁当もあれば、質実剛健ハイカロリー弁当もあります。

韓国料理や、ヨーロッパで流行り始めた Bento っぽいのもあります。

お料理好きのコヨセさんは、ひとつひとつのお弁当の味や個性まで考えているのです。

 

「メニューを考えるだけでも大変だったでしょ」

「これは時間がかかりますねえ。彩りよく並んでいるし」

「ねえねえ、これって、どんな料理なの?」

 

口元ゆるみっぱなしで、わいわいキャイキャイさざめく、おたすけチーム一同。

しかし、こういうとき、いちはやく正気に返るのが編集者ウエムラであります (写真左)。

笑みをうかべて、やんわりクールに言い放つ…。

 

「それはそうとコヨセさん。あわよくば三枚、少なくとも二枚は完璧な原画をしあげてくるお約束ではありませんでしたっけ?」

 

 

 

ぐっ、と つまるコヨセさん。

 

「…あ…う…まあ、その、いろいろ、問題があってね…(もごもご)」

ウエムラ編集者の視線に耐えかねて、とりあえずペットボトルの栓を力いっぱい捻るの図。

(ちなみに、ホワイトボード記載の文章は本件とは無関係であり、コヨセさんが8月中旬に発送されるわけではありません)

 

かくして、納得のいく絵がかけるまで時間をかけたいコヨセさんと、その心情を最大限に尊重しつつも刊行スケジュールをにらみ、お尻を叩かねばならぬ編集部との攻防戦、その熱き闘いの火蓋が切って落とされたのであります〜!

 

え、わたし?

わたしは高みの見物ですよ。

…と言いたいところですが、おたすけチームは一丸となって、あの手この手でコヨセさんを応援しなくてはなりません。

 

 

 

そこで。

まずは、つぎの日に、庭の芝刈りをしました。

なぜって今回のお話では、おたすけこびとがユンボバリカンを使って雑草を刈るから。

 

ユンボバリカンのかわりに、電動バリカン使用。

目線を低くして、身長2.5センチのおたすけこびとたちのきもちになって、炎暑の陽ざしの中で狭い庭の芝ジャングルと格闘しました。

小さなバッタがひょいひょい逃げていきました。

 

……あんまり役に立ちそうにないですか?

ま、とりあえず、こびと目線で、コヨセさんの伴走をいたします。

 

 七冊目のおたすけこびと制作裏話は、こちらからどうぞ。

  http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=69

 ◆http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=71

  http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=82

 ぁhttp://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=85

 ァhttp://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=88

 

ハンカチともだち、あとすこし

 

 

気が遠くなるような暑さのなか、「ハンカチともだち」は、じりじりと進んでいます。

 

じつは、テスト校の1回目は、けっこう、アッチャ〜(@_@;)だったので焦りました。。

ピンクはよかったのだけど、緑がケバケバで…。

パソコン画面でみる色と、うちのプリンターで印刷する色と、本のための紙に実際のインクで印刷した色と、みんな違うんですもん。

それでも、テスト校をもとに調整した結果、2回目のテスト校では、納得のいく色がでてきました。ほっ。

 

デザイナーの鈴木千佳子さんが選んだフォントの文章をあわせたレイアウト紙も到着。

フォントというのは、活字の形のことですが、それによって本の雰囲気がずいぶんかわるのですよ。

 

このフォントは、その名も「ちびまるゴシック」。うふ。

のほほんとした感じが、物語にぴったり。

デザイナーの手にかかると、微妙なバランスが ぴたっと決まります。

 

 

紙の端っこにある線は「トンボ」といって、本の実際のサイズを示すものです。

トンボに合わせて紙を切り…

 

 

ノリで貼りつけて、本のかたちにします。

 

 

これをめくりながら、何度も読みます。

なるべく、はじめて読むひとのきもちで。

 

すると、たちのぼってくるのが、この本の世界の香り。

ふわりと たちのぼるものを、いくらか距離をおいて他人事のように味わいます。

そしてまた、冷ややかに アラ探しをつづけます。

 

そんなこんなをしているうちに、表紙のデザイン案も送られてきました。

およその方向性は話しあいながら進めているとはいえ、新鮮な驚きに胸がときめきます。

 

はだかんぼうの赤ちゃんに オーダーメイドの服をしたててもらう気分。

 

 

 

あとすこし、です。

夏の暑さがやわらぐころに、こんな服をきた本が お目見えいたします。

 

 

おたすけこびとが いっぱい!

 

高知県立文学館でおこなわれた、コヨセさんのワークショップ。

写真がとどきました。

(いや、ほんとはとっくに届いていたのですが、わたしがグズグズしてまして…、ごめんなさい)

 

白い模造紙二枚に、子どもたちが顔をかき、色を塗った おたすけこびとがたーくさん。

にぎやかな歓声がきこえてきそうですね。

 

でも、ん?

こびとの下には、なにやら黄色い絵が……。

 

はい、じつは、はじめにコヨセさんが模造紙に重機の絵を描いたのです。

↓黒い太マジックで輪郭を描き、黄色と黒の絵の具で、ぐいぐいとライブペインティング。

 

 

でもコヨセさんって、寡黙に、ゆっくり丁寧に…のヒトなので、はじめこそ、わぁ〜と感心して喜ぶ子どもたちも、じきに退屈しちゃいます。(^_^;)

 

そこで、あらかじめ、おたすけこびとの輪郭を印刷して切り抜いた紙をわたし、子どもたちにもお絵かきをしてもらえば間が持てるだろうという作戦。

かつて私たちが気仙沼の幼稚園や小学校を訪問しながら練ってきたワークショップです。

 

作家も、子どもたちも、それぞれの手もとをみつめて黙々と絵を描く 素敵な時間。

 

コヨセさんは、その時々で、パワーショベルを描いたり、クレーン車を描いたり。

そして、子どもたちが作ったカラフルこびとを、コヨセさんの重機の上にぺたぺた貼れば、世界で一枚しかない「コヨセ・ジュンジとみんなの合作」のできあがり!

 

……の、はずなのですが。

 

参加者が多かったのか、一人あたりのコビト枚数が多かったのか、コヨセさんの絵がなかなかできあがらなかったのか…などの理由により、コビトの大群に埋め尽くされる重機の図になったという次第。(^_^;)

 

でも、とっても楽しそうな熱気がつたわってくるので、ノープロブレム。

ほら、似顔絵入りサインを描くコヨセさんの うれしそうな顔。

 

 

高知のみなさん、おたすけこびととコヨセさんを温かく迎えてくださって、ありがとう。

 

はたらく車の展覧会は、まだまだ続きます。

とても魅力的な展示のようですよ。

どうぞお出かけください。

 

https://www.kochi-bungaku.com/exhibition/3894/

 

 

おたすけ会議 5

 

5回目の おたすけこびと会議。

月イチ開催なので、もはや月例おたすけ会議。

 

コヨセさんがさらに精度をあげて描いてきてくれた着彩ラフに、実寸に切ったテキストを載せて検討しました。

だってコヨセさんたら、絵に没頭するとテキストの場所まで絵で埋めちゃうんだもーん。

テキスト入れるところがなくなると困るから、忘れないようにね〜。

…というのは、半分ホントですが、それだけではありません。

 

完成予想がみえてきたラフにテキストを貼り込む この作業が、わたしはとても好きです。

絵+文でなりたつ「絵本」が、生き物として鼓動を打ちはじめる瞬間だから。

 

固唾をのんで見守って、1+1が3や4になりそうであれば、うっとり、にやにや。

2でしかなければ、せめて2.2にならないものかと考えます。

テキストを置く位置によっても、絵の力を後押ししたり、削いでしまったりするので。

たまに1+1が1のこともあって、そんなときには、ばっさり切ります。

 

絵本の絵と文は、それぞれに異なる旋律。

うまくあわさると多声音楽のように響きあい、奥行きが増すものです。

 

その確認のためには、ひとりじっくり読むのはもちろん必須ですが、チームみんなでにらんでカンカンガクガク議論するのも、またヨロシイ。

全員が「いいね」と頷けば合格だけど、必ずしもそうはいきません。

てんでばらばら違うところに違和感を覚えるときもあって、会議は紛糾…。

でも必ず、より良い着地点がみつかるのです。

これぞ、おたすけ会議の醍醐味なり (^o^)!

 

 

すべてを受けとめて、長距離ランナーのように絵を描き続けるコヨセさん。

取材へもでかけます。

 

前回、若手編集者が段取りをつけてくれた取材先で、おめあてのトラックについて解説をきくコヨセさん。赤いヘルメット、すてき。

(全身の写真がほしかったのに、撮ってきてくれなかったんです(u_u) トラックの写真ばっかり。。。)

 

 

↓社員のみなさんも色とりどりヘルメット。おたすけこびとみたい〜(^o^) ←逆転の連想

 

 

 ↓ほら、ざっくりとした鉛筆線の愛らしいこびとたちを ごらんくださいまし。

 

 

↓既刊本を突きつけられて(?) タイトルスペースが狭いよと責められているコヨセさん。

   絵に夢中になるうちに文字スペースが狭くなるのは、絵本画家アルアルですのよ (^。^)

 

 

そろそろ、本描きにかかるそうです!

 

きょうりゅうたちの ペット入手経路

 

どこからも横槍が入らず、めでたく契約書がかわされたとのことで、きょうりゅうシリーズ絵本の翻訳をはじめました。

 

秋に刊行予定の一冊は  "How Do Dinosaurs Choose Their Pets?"

直訳すると「きょうりゅうたちは どのように ペットを えらぶのか?」となります。

 

…なんのこっちゃ!? 

じつは、このシリーズに登場する迫力満点のきょうりゅうは、すべて人間の子どもたち。

きっと作者は、とほうもなくパワフルで わからんちんの子どもに振り回された経験が豊富なのでしょう。

 

今回、きょうりゅう(=子どもたち)は「ペットをかいたい!」と言いだします。

子育てアルアルですな。

 

動物がいるのは動物園!ということで、動物園からトラをかついできちゃったりします。

きょうりゅうですから、ゾウをひっぱってくるのも造作ありません…。

 

 

火を吹くドラゴンも、ペットとして飼育対象になります…。

 

 

…などなど、おもいっきり破天荒な暴れっぷり。

子どもの願望や、やってくれちゃいそうなことが、ドスンドスンと描かれます。

「そ、それは、さすがにまずいのでは」と焦っちゃう。

 

その頃合いをみはからって、いっきに正道に導くのが、当シリーズの戦法です。

「まさか、そんなことしないよね。きょうりゅうだもの。ちゃんとわかってるよね」って。

 

だまし討ちのような展開ですが、にやにやげらげら笑ったあとの子どもたちは、心が解放されているのか、素直に頷いてしまうようです。

はい、なにをかくそう、この本の正体は、しつけ絵本であります。

大人って、ずるいよねえ。

いつもながら作者たちの狡猾さに苦笑します。

(…って、わたしもまちがいなく、その一味ですが…(^_^;)

 

 

かくしてめでたく、大型危険動物ではなく、犬、猫、うさぎ、ハムスターなどの小さく愛らしい動物を飼うことで妥協する きょうりゅうたち。

 

 

さて。

みなさんは、ペットを飼うとき、どこへ行きますか?

 

この絵本のきょうりゅうたちが行くのは、以下の三つ。

 

  shelter (シェルター)

 ◆farm (農場)

  pet store (ペットショップ)

 

ここで翻訳者の深い悩みが始まります。

 

,離轡Д襯拭爾箸聾でなどの保護施設のことですが、「シェルターに いぬを もらいにいく」ときいて状況を理解できる幼児が何人いるでしょう。

大人の読者でも核シェルターやDVシェルターなどを想像してしまうかもしれないので、このカタカナ用語そのままは使えません。

 

日本でも、小動物の保護と一時飼育および譲渡斡旋を扱う組織は官民ともに増えてきましたが、その呼び名が一定しておらず、認知度も高いとはいえないのが現状です。

 

 ほごしせつ (保護施設)

 どうぶつあいごだんたい (動物愛護団体)

 さとおやかい (里親会)

 

うーん。

漢字だと内容を把握できるけれど、平仮名になると、すんなり頭に入らないですよね。

絵本の文章の基本は平仮名なので、悩ましい…。

 

 

△痢屬里Δ犬腓Α廚癲▲ぅ泪ぅ繊

町に住む子どもたちが郊外にでかけて、広々とした農場で繁殖された犬猫などを分けてもらうのは、欧米の絵本や児童文学によく描かれる情景です。

でも、日本の稲作農家や養鶏業の方が「子犬、わけてください」と言われたら目をパチクリしちゃうはず。

作品によってはもちろん異文化紹介としてOKですが、この本の場合、異物感のデメリットのほうが大きいかな。

 

 

の「ペットショップ」。

これは問題ありませんね。そのまま使えます〜。

……といいたいところですが、じつは、ここが最大の難所なのであります!

 

なぜなら、現在、欧米のペットショップのありかたが、日本のペットショップとは、かなり違う方向へと急速に変わりつつあるから。

名前だけ同じで内容の異なる言葉をカタカナに置き換えることは、翻訳ではありません。

むしろ誤訳。

 

絵本は、未来をひらく子どもたちが読むものです。

それも何度もくりかえし、くりかえし、読んでくれる。

すくなくとも五年か十年先までは、言葉の賞味期限を想定しなくては。

 

これからの日本の子どもとペットの望ましい出会いの場は、どこでしょう。

小動物飼育歴半世紀を超える私は、翻訳の範疇で可能な匙加減をさぐっています。

 

 

…へへ。

なにやら大袈裟な話になりましたが、つづきは、またね。(^o^)