紙の本は プチ・アート

 

「ハンカチともだち」の見本があがってきました。

ぼちぼち、全国の書店に並ぶとおもいます。

 

長い時間をかけて作ってきた本ができると、わたしは凹みます。

編集者には苦笑され、がっかりされる困った性癖です。

 

そんなわたしを救ってくれるのが、本の美しさ。

きれいな装丁の本だと、あまり凹まずにすむのです。

 

この「ハンカチともだち」も、そう。

布のような風合いの帯については、前にも自慢しました。

しかも、校正のときより一段と布っぽい。

山口郁子編集者が印刷立ち会い(←印刷機の横に長時間貼りついてニラミをきかすこと)でインクの盛りを調整してくれたおかげでしょう。

もちろん、印刷所の職人さんたちの熟練技があってこそ。

 

本を手にとると、帯の部分は、ざっくり木綿の肌ざわり。

いっぽう表紙カバーは、さらりとなめらかな絹のよう。

触感のちがいが新鮮です。

 

表紙をひらくと広がるのは、ほんわかピンクの見返し。

はい、ハンカチをイメージしています。

 

 

さらに見返しをひらくと、右側はただのピンク。

でもこれ、見返しと同色同濃度を指定して印刷しているんですよ。

さいしょは白い紙のままでしたが、なんとなく間が抜けていたため、デザイナー判断でこうなりました。正解です。

 

ピンクの面積を増やせば、めだってくるのが、ミントグリーン。

「ともだち」の言葉が、ぽんと浮きあがりました。

著者名も出版社名も、割愛。すんすんと、お話の世界に入っていってほしいので。

 

 

ピンクは、主人公 はるちゃんのテーマカラー。

だから、しばらくピンクが多い頁がつづきます。

 

そして9頁めに、副主人公のミヨンが さりげなく登場。

文章ではミヨンの名前をださず、ことさらに注意を促すこともしませんが、ミヨンの靴下はミントグリーンです。

 

ここをみて、わたしは、はっとしました。

予想していた以上に、ミヨンが印象的だったのです。

そう、紙面の左端にもミントグリーンがあるからですよね。

 

 

左端だけではありません。

本の表紙とカバーは、本文用紙より大きいため、天地にもこの色がのぞきます。

まるで額縁のように。

 

 

たまたまなのか、内なる必然ゆえか、副主人公ミヨンがでてくるのは左頁が多い。

そしてこの本の装丁は、左の表4(裏の表紙のこと)が きっぱりミントグリーン。

読む人のからだが揺れ、本が揺れ、目がうごくたびに、ミントグリーンの額縁が有効に作用するというしかけ。

 

う〜む。

才ある装丁家は直感的につかみとったのでしょうか。

本の内容をしっかりサポート&一段ひきあげていただきました。

 

 

こうして紙の本は、子どもが日常的に出会う ささやかな美術品になるのだとおもいます。

小さな「美」の ふだんづかい。

とても大切です。

 

 

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