絵本と 不発弾ピアスと アフガニスタン

 

シャンティ国際ボランティア会のことを、わたしがはじめて知ったのは、たぶん、2004年のスマトラ沖地震のとき。

 

日本からもさまざまな団体が支援にかけつけ、阪神淡路大震災で培ったノウハウを応用してお手伝いをしていましたが、そのあと被災地にとどまって子どもたちに絵本を届ける「図書館活動」をした風変わりな団体として、ぼんやり印象にのこりました。

 

「シャンティ」なんて名前だから、若手僧侶の団体かもねと思いました。

じっさい、原点は曹洞宗の有志によるインドシナ難民救済活動だそうですが、40年近い歳月を経て、特定の宗教とはかかわりをもたない公益社団法人、国際協力NGOとして、めざましい活動実績をあげているようです。

特筆すべきは、絵本をとおして、アジアの子どもたちの教育支援を行っていること。

 

2011年の東日本大震災でも、いちはやく気仙沼事務所をたちあげ、「走れ東北! 移動図書館プロジェクト」とやらで図書館バスで走り回っているシャンティを、やはり気仙沼とご縁があって個人的に細々と支援をしていたわたしは、横目でちらちら見ていました。

 

そんなふうに、なんとなーく意識していたシャンティから、直接お声がかかったのが、去年のこと。

「せかいでいちばんつよい国」に山岳民族のカレン語とビルマ語のシールを貼って、難民キャンプに届ける企画がはじまったのです。

私は両手をあげて、はしゃいで参加。とても新鮮な体験でした。

 

 

そのご縁で「絵本を届ける運動」20周年記念に呼んでいただくことになり、シャンティの専門アドバイザーである鎌倉幸子さんと対談をしてきました。

 

イベント前半はシャンティの海外での活動報告です。

日本のボランティアたちが現地語のシールを貼った山のような絵本のコンテナが船に積まれ、トラックに積みかえられて道なき道をひた走り、泥にうまって難渋し、ようやく山奥の子どもたちの手に届くまでの写真の数々。

ポルポト政権によって学者も教師も図書館も本も抹殺されつくした祖国で教師になり、いま子どもたちに絵本を手渡している中年男性の穏やかな表情。

文字のよめない親に、絵本を音読してあげる子どもの誇らしげな顔。

カンボジア事務所で9年間をすごした鎌倉幸子さんが語る現地の子どもたちの本の読み方に感心したり、しんみりしたり。

私は完璧に聴衆になり、放心してしまいました…。ぼーっ。。。

まずい、言葉がでてこない…。。。

 

どうにか気を取り直して「せかいでいちばんつよい国」「メルリック まほうをなくしたまほうつかい」「いっしょにおいでよ」「ひみつのビクビク」についての話をしましたけど。

 

ちなみに、この日、わたしのピアスは、これ。

 

銀色の8面体を半分に切ったようなスタイリッシュな金属ピアス。

重そうにみえて、とても軽いので、お気に入り。

 

じつはこれ、もう何年も前に、シャンティの手工芸品の販売による支援活動クラフトエイドで買いました。

なんと、ラオスの地中に埋まっているベトナム戦争の不発弾を回収してピアスにしたもの。

 

ざんねんながら、いまは在庫がないそうです。(ほかにも素敵なのがありますよ)

私:「友だちにもプレゼントしたんですよ。もっと欲しいなあ。原料調達できませんか?」

鎌倉さん:「そうね、ビジネスにしようかしら」

…なんてキツいジョークのやりとり。

でもほんと。

不発弾も地雷も、みんなアクセサリーになってしまえばいいのに。

 

 

定員をはるかに上回るぎゅう詰めの会場は、熱気がすごくて師走だというのに冷房ON !

さいごは小グループにわかれて参加者どうしの話し合いも行われました。

新たなネットワークが結ばれているといいな。

 

ほそえさちよ編集者や、鈴木真紀編集者とも「世界の子どもたちの問題に関心をもって積極的に働いている人達があんなにいるんだねえ」と、興奮気味に話しました。

胸が ほかほか温まって帰宅。

うむ、世の中、捨てたもんじゃないぞ。

 

……

 

その直後に。

アフガニスタンで中村哲医師が殺害されたというニュースがとびこんできました。

 

現地の人達が自力で用水路を掘れるように、学び続けられるようにと、息長く、ひとの体温をつたえる本物の支援をつづけてこられた方なのに。

 

シャンティもまたアフガニスタンの子どもたちの教育支援をしています。

銃撃事件のあった場所のそばに事務所があるそうです。

 

絵本とか、子どもの笑顔とか。

かわいいもの、きれいなもの、夢や憧れ。

そういった、のんきで のほほんとしたもののために、わたしは日々腐心しています。

まったく、お気楽な稼業です。

なのにときどき、そんなことをしている場合か、それでもこの世界を信じられるのかと、刃を突きつけられるようなことが起きてしまいます。

のほほんをつづけていくことが、それだけで「闘い」になりうる。

そんな社会は、まっぴらなのに。

 

シャンティの若いスタッフは、中村哲さんの訃報をうけた夜に、「いっしょにおいでよ」を読み返したそうです。

 

日々の自由なくらしを手放さないこと。

よいもの、美しいものをたいせつにしていくこと。

それもテロへの意思表示だと、画家のパスカルは言っていました。

 

 

 

さいごに、シャンティからもらった冊子(2019年10月秋号)を。

 

支援地域にとどけた絵本の冊数が書いてあります。

その1冊1冊を、数十人、数百人の子どもたちが繰り返し繰り返し読むのだそうです。

 

 

アフガニスタンの水場につどう子どもたちの写真もありました。

子ども図書館に通う少女の、おだやかな日常のエピソードとともに。

 

 

 

 

コメント

今まで全く知りませんでした。
『シャンティ国際ボランティア会』のこと。
その中で『絵本を届ける運動』というものがあること。
その運動の詳細をHP上ですが、
絵本の凄さを感じました。

地道な活動ですが、その活動が人を支え、
その人が繋いで、広げていくことに、
心が揺れます。

何か自分にもできることがありそうだと思いました。
ありがとうございました。

  • 2019/12/11 00:12

そういってくださる方がいると嬉しくなります。
「絵本を届ける運動」は、とても楽しいですよ。
子どもたちと一緒にあれこれお話しをしながら作業をするのがオススメです。ふしぎな文字のこと、それを読む世界のどこかの子どものことなど、日本の子どもたちの心にも大切な種をまく作業だと思います。

  • なかがわちひろ
  • 2019/12/11 11:15