ガチョウの選択 アヒルの懸念

 

イギリスの新作絵本を翻訳しています。

原書のタイトルは "The Little Island" (「ちいさな しま」)

 

あるところに どうぶつ村が ありました。

羊、馬、牛、豚、ガチョウやアヒルたちが、それぞれ すきなところに家をたて、めいめい 得意な仕事を分担して暮らしていたのです。

たまには もめごとも起こりましたが、いろんな動物がいれば、それはまあ、あたりまえ。

みんなは、おおむね満足でした。

 

ところが、あるとき。

村のはずれの小さな島に住んでいるガチョウたちが文句を言いはじめます。

 

「ここは ぼくらの島なのに、どうして羊や豚が いつもうろちょろしてるんだい。

 やつらは 島のおいしい果物をもっていっちゃうし、やたらと態度がでかい。

 そのうちに、ぼくらが 島から追いだされちゃうんじゃないか」

 

ガチョウは大声でガアガア騒ぎます。

そして会議をひらいて、対岸の動物たちとの往来を断つことを採択。

あっというまに橋を壊してしまうのです。

おなじ水鳥とはいえ、アヒルたちは対岸の動物たちとの自由な往来を望んでいるのですが、多数決で敗れてしまいます。

議会制民主主義ですからね…。

 

 

はい、そうですとも。

冒頭の画像にあるとおり、これはイギリスのEU離脱=BREXITをテーマにした絵本です。

はたして、ガチョウとアヒルたちを待ちうける運命やいかに…。

ユーモラスで、諷刺がチクチクしている おとぎ話です。

 

そのむかし、私はイギリスのコメディ脚本を翻訳していましたが、時の政権や女王を揶揄した内容が多いことに驚きました。

日本ではとても考えられないと羨ましかったものです。

 

けれど私がこの絵本を翻訳するときめたのは、ジョンソン首相をからかいたいからではありません。

普遍的な問いかけをもつ物語だから。

幼稚園でも、学校でも、公園でも、マンションでも、会社でも、自治体でも。

舞台をどこに置き換えてもよさそうなお話。

 

そしてもちろん、日本は、まちがいなく「ちいさな しま」です。

「よそものたち」が私たちの島にやってきて、ともに働く現実は、すでに始まっています。

担当編集の鈴木真紀さんと、身近にあるさまざまな事例をあげて話し込んでしまいました。

 

さて。

わたしはガチョウなのか。アヒルなのか。

あなたは、いかがですか?

 

 

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