アンティーク家具のリペア職人

 

古い家具、とくに椅子がすきです。

重厚で高価なのじゃなくて、ちょっと前までふつうに使われていた椅子。

なかでも惹かれるのは、五十年から八十年くらい前にヨーロッパのカフェの店先で乱雑に重ねられ、がしがし使われていた曲げ木の椅子です。

かるくて扱いやすいんですよ。手仕事なので、作り手の個性があるし。

ひとりの時間に飽くと、曲げ木のカーブ、傷や凹みをさすって、ぼんやりしています。

 

で、はたと気づきました。

1930年から1960年代といえば、アメリカに絵本の黄金期をもたらした作家たちの時代ではないかと。

フランソワーズの「ありがとうのえほん」は1947年生まれなので、きっとこの子と同世代。

 

たくさん働いた古い椅子は、ひびが入ったり、割れたりして、しだいに実用に適さなくなります。焚きつけにされた椅子も多かったことでしょう。 でもなかには、数奇な運命をたどって、東洋の島国で畳の上に置かれる椅子もいました。(フェルト貼ってます (>_<)

 

うちにくるまえに、家具のリペア職人が分解し、ひびや割れを修復し、ねじをとりかえ、歳月の味をそこなわないように再塗装をしてくれたので、まだまだ働いてもらえます。

 

で、そこでまた、はたと気づきました。

初版から数十年の歳月ののちに、遠い国でふたたび出版されて新たな読者にとどく本たちにとって、わたしはリペア職人なのだと。 


すでに存命ではない作者の思いを推しはかり、時代の香りを保ちつつ、いまの子どもたちの「ふだん使い」に耐えるよう、ことばを組み立てなおし、紙を選び、色をさがす。

 

腕のよいリペア職人でありたいものです。

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