インキも翻訳 紙も翻訳

 

同じに見える三枚の絵。

じつは微妙にちがいます。

 

「ちっちゃい おおきい おんなのこ (LITTLE BIG GIRL)」は色出しで苦労しています。

(私ではなく、編集者とデザイナーと印刷所の方々が)。

 

この絵本。絵はかわいいけど、シャープな黒い線が印象的。

そして色を、あえてオレンジと青緑と黄色にしぼったストイックさがかっこいい!

 

…と思っていたら、ちっともストイックじゃなかったんですよ。

使っているインキが、けっこう贅沢なものだと判明しました。

むむう、やはり作者のクレアは、ディズニー帝国の血脈をつぐイラストレーターでありました。サラブレッドって目立たないところにお金をかけるのね…。

 

しかも、原書に使われている青白い紙が、日本では手に入りません。

いちばん青白いとされる紙でも、ほんのり黄色みを帯びているので、ますます色の出がちがってしまいます。

 

そう。

日本語版の紙は、日本の紙。

インキも日本のインキ。

素材の置き換えという意味では、英語と日本語のようなもの。

紙やインキも、日本仕様に「翻訳」するわけです。

 

なるべく原書に忠実にと、限られた予算のなかで、あれこれ隠し技を駆使して努力します。

(私ではなく、編集者とデザイナーと印刷所の方々が)。

 

するとそのうち、「おお、原書と違うけど、原書よりいい!」という域に達することも多く、日本の印刷技術はレベルが高いと感心します。

きょうも、ほっとしたところです。

 

もしかしたら、日本人には、このほうが響くという色合いが微妙にちがうのかもしれませんが、原著者に感激されることだってあります。

 

ん、なんかヘン?

だけど、絵本の色の「正解」って、なんでしょう。

印刷物は、基本的にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインキで刷ります。

だから、どっちみち、原画の細かいニュアンスを100%再現することは不可能。

 

それどころか、高名かつ優秀な絵本作家には、印刷で出にくい色を、原画の段階でわざと派手に塗る方もいます。

原画をみると色のバランスが悪いのに、印刷されたものは、ぴたっと決まっているというわけ。まさに職人技…(私には到底むり)。

最近は、じぶんの絵の色をパソコンで操作してからデータで印刷所にわたす画家も多いです。

 

やっぱり絵本にとっては、読者の手にわたる印刷物がすべてということですよね。

 

すこしでも良い「正解」にむけて、きょうも努力がつづきます。

(私ではなく、石原編集者と水崎デザイナーと印刷所の方々の…)

 

がんばって〜ヽ(^0^)ノ

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