おおかみの おなかのなかって?

 

ぴっかぴっかの四月。

ぴかぴかでハイテクな新ビルにお引っ越しをした 徳間書店編集部で打ち合わせ。

革の手帳をひらいているのは、小島範子編集長(…の手)。

 

左下が原書絵本PDFのプリントアウト。原書はまだ届いていません。

表紙の動物たちのギョロ目にピンときた方もいるでしょうか。

そう、ジョン・クラッセンの絵です。

文を書いたのは 相棒のマック・バーネット。

 

わたしは二人のコンビによる絵本を二冊翻訳していますが、文と絵の呼吸がいつも絶妙。

掛け合い漫才みたい。

自分たちもクツクツ笑いながら世界中をくすぐって楽しんでいる いたずらっ子二人組ってかんじです。

 

原題は "THE WOLF THE DUCK & THE MOUSE"。

直訳すると『おおかみ あひる そして ねずみ』。

 

最初のページで、主人公のねずみが おおかみに出会います。

そしてなんと2ページめで、ぱくっと食べられてしまいます…。

そのあとは、おおかみの おなかの中で起きたことの物語。つまり、あひるも、おおかみのおなかの中にいたということ。

だから日本語版のタイトルは『おおかみの おなかの なかで』にしましょうよ〜と、わたしは小島さんに訴えております。

音としても、「お」と「か」と「なか」の重なりが楽しいかと。

 

 

打ち合わせでは、絵に貼り込んだ文章を、声にだしてゆっくりと読んでいきます。

かわりばんこに、何度でも。

ちょっとでも気になったことを ざっくばらんに ざくざく出しあうことが、とても大切。

些細なひっかかりから、大きな問題が炙りだされたり、名案がうかんだりするものです。

すると某所で、小島さんが呟きました。

 

「おおかみは、おなかがいたくなった、ってあるけど、正しくは、吐き気を感じたわけですよね。だって、ねずみと あひるが会ったのは、おおかみの胃でしょ、腸ではなく」

「えっ!?  この種の世界では、口の中は、ぜーんぶ おなかじゃないの?」

「えっ!? …まあねえ…そうねえ。赤ずきんちゃんの場合、おおかみの毛皮を切り裂くとすぐにおばあちゃんが出てきますもんね」

「そうよー。ピノキオなんて、くじらのおなかのなかで くじらの肋骨にランプをかけてなかったっけ?」

「……(目が泳ぐ)……」

 

今回の翻訳に、胃と腸の区別が反映されることはなさそうですが、すこぶる大雑把な内臓観を幼い読者たちに刷り込んでしまうことに若干のためらいと罪悪感をおぼえた私です…。

ま、神話的スケールってことで。(^_^;)

 

 

なにはともあれ。

古典的なような、シュールなような、とぼけた味わいがおかしくて、クヒヒヒヒと笑ってしまう絵本です。

笑えるって、いいなあ…。

 

 

 

 

 

 

 

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