子どもの本の縦横問題

 

英語は横書きなので、本はすべて横組みです。

綴じ目が表紙の左側にあり、ページを左にめくっていきます。

絵本も、大人の分厚いペーパーバックも同じ。

 

ところが日本語には、横書きと縦書きがあります。

教科書も、理科の教科書と国語の教科書では、横組みと縦組みに分かれます。

国語の教科書のように文字が縦組みの本では、綴じ目が表紙の右側にあり、ページは右にめくっていきます。

絵本のほとんどは横組み左開きなのに、文字量が多い童話や読み物になると90度回転して縦組みの本が増え、右開きとなります。

大人の文学はほぼすべて縦組みですね。

 

なぜでしょう。

日本語は文字量が多くなると、縦組みのほうが読みやすいからではないかしら。

(…この記事は横組みですが…(^_^;))

 

そんなわけで、分水嶺とでもいうべき文字量が多い絵本の原書を前にして、翻訳者と編集者は悩むのであります。

オリジナルどおり横でいくべきか、それとも、あえて縦にしちゃうべきかと。

 

横組みのものとして作られた英語の絵本を、むりやり縦組みに直すと、いろいろ不都合が生じます。

ページをめくる方向がかわるのは、本としての「進行方向」が逆になることなので、絵を「逆版」といって左右反転しなければならなくなることが、いちばん辛い。最小限度にとどめますが。

大型絵本から、判型の小さい読み物にするために、絵が小さくなって迫力が減じてしまうこともあります。

ページ割とレイアウトをするときは、髪をかきむしって悩みます。

 

それでも、本によってはメリットが大きいと私は思います。

読み物の判型にすればページ数を増やせるので、ひとつの見開きにひとつのシーンだけを納めて、文字もゆったりと入れることができます。

それによって、子どもがお話の展開に集中できるのです。

英語の絵本の場合、大きな見開きの中に、変化するお話の絵が三つも四つも押し込まれて先の展開がネタバレしちゃうことがあります。

多くの場合、画家の意図というより、構造的、あるいは予算的な問題。

それが解消されるというわけです。

 

そして、物語を一人で読みはじめる子どもは、挿絵のない本が苦手です。

絵本より小さくなるとはいえ、挿絵としてはじゅうぶん大きな絵がどの見開きにも入っていれば、読書の手助けになるでしょう。

ゆっくりと文字を追い、絵をたのしみ、ページを少しずつめくって、1冊の「ちゃんと厚みのある本」を読み切る喜びは、とても大きいはず。

 

そんなわけで、この本は縦か横かを、編集者とともに毎回悩むのです。

物語初級者たちの本棚に、読みやすくて楽しい本を届けられることを願って。

 

 

 

 

コメント

 最近の子供は、横書きが好きですね。生活のほとんどが横書きになってきているせいでしょうか。先日国語のノートなのに横書きで書いている子をみつけました。ノートも方眼で、「これって、算数のノートじゃないの?」と・・・。でも、縦書きで味わえる日本語の文化はなくしたくないです。ちひろさん、がんばって!!!

  • さとうちがこ
  • 2017/12/18 11:26

ネットの普及、テレビの字幕など、みんな横書きですものね。
しだいに変わっていくのかもしれません。でも、今ある大人の本が横書きにかわる兆候は見られず。しばらく悩みはつづきます…。
わたしも子どものとき、横書きで手紙をかくのが好きでしたよ。

  • なかがわちひろ
  • 2017/12/20 21:08