ゴッホ おすすめ

 

ゴッホの絵本、"VAN GOGH PAINTS THE NIGHT SKY : Vincent Can't Sleep"。

ゆるゆると翻訳をすすめています。

 

フィンセント・ファン・ゴッホが画家になるときめたのは27歳のときです。

37歳で亡くなったので、画家としての活動期間は、わずか10年間。

では、その前は何をしていたのかというと…。

 

牧師の家の長男として生まれたフィンセントは、花や虫や鳥がだいすきな観察力の鋭い少年でした。

でも、かんしゃくもちで気むずかしく、両親にとっては扱いにくい子だったようです。

成績優秀で学費の高い寄宿学校に入学しますが、環境になじめずに15歳で中退。

1年間ひきこもりののち、伯父が経営する大手画商グーピル商会にコネ入社します。

けれど接客業には不向きで、クビになってしまいます。

その後は代用教員をしたり、書店につとめたり、父のように牧師や伝道師になろうと必死に努力するも、ことごとく挫折。

 

いっぽう、フィンセントの4才年下の弟テオは、穏やかで人好きのする性格もあり、兄がしくじった場所で順調に成功し、若きエリート画商となります。

 

フィンセントのほうは画家宣言をしたといっても世間に認められたわけではなく、絵はまったく売れません。

その衣食住から絵の具代までの経費を払いつづけたのは、テオ。

有能な画商としてフィンセントの適性を見極め、絵のアドバイスをしたのも、テオ。

フィンセントと両親の激しい対立の調停役も、テオです。

 

フィンセントとテオ。

太陽と月ほどに対照的な兄弟ですが、根っこでひとつの存在だったのか、フィンセントが死ぬとテオの心身も折れたかのように半年後に亡くなっています。

 

 

……とまあ、翻訳作業そのものより、ついつい「資料研究」に吸い込まれてしまう私から、おすすめを三つ。

 

『ファン・ゴッホの生涯』(ネイフ / スミス著 松田和也訳 国書刊行会 2016)

細かい字の二段組み×上下巻。めちゃ長いです。超絶詳しいです。労作です。

身も蓋もないほど赤裸々に綴られるフィンセントの生涯は読んでいて辛くなりますが、この本のこと、わたしはたぶん一生忘れません。

 

『ぼくはフィンセント・ファン・ゴッホ』(林綾野 / たんふるたん 絵 講談社 2017)

小学生から読めるように、やさしい言葉でまとめられた伝記絵本です。

丁寧に資料文献にあたり、ちゃんと咀嚼されていることがよくわかります。

絵もいいですよ。あの写真や絵をこうまとめたかと感心するところが随所にあります。

わたしが翻訳中の絵本も、この本とならべて子どもたちに読んでもらいたいなあ。

 

『ゴッホ 最期の手紙』(コビエラ / ウェルチマン 2017)

125人の画家が、ゴッホの油絵タッチで描いたアニメーション映画。

ゴッホの油絵がうごきだし、ひそやかに語られる画家の人生に入り込むような ふしぎな体験が味わえます。

脚本としての魅力もあり、見終わったあとには悲しくも温かな余韻がのこりました。

 

 

いずれも、ここ一、二年の作品です。

そういえば、『ゴッホ 最期の手紙』の原題は "Loving Vincent"。

手紙の結びの言葉「愛をこめて」から作ったタイトルです。

生前のフィンセントは「愛」というものを扱いあぐね、報われることがありませんでした。

いま、多くの人びとが、こういうかたちで愛を返しているように思います。

 

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