ゴッホの星空 そして夜の嵐

 

ゴッホ絵本のタイトルが確定し、デザインがきまりました。

 

原書は メインタイトルが  "Vincent Can't Sleep " で、副題が "Van Gogh Paints the Night Sky" でしたが、ひっくりかえしました。

だって、いきなり『フィンセントはねむれない』じゃ睡眠障害の本みたいだし、そもそも、フィンセントって誰だか、すぐには わからないですもんね。

そしてこの本では「星月夜」という絵が鍵なので、「夜空」ではなく「星空」にしました。

 

日本語版のタイトル文字は、森枝雄司デザイナーの手作り。

森枝さんは、既存のフォントでも描き文字でもない字を作ってしまう名人です。

副題や著者名も 絵のムーヴマンにあっていて、おもしろいでしょう。

森枝さんて、青い本のときに、とくにうまいので、わたしは「青のデザイナー」と呼んでおります。

 

あ…。

副題が「フィンセントは ねむ…ない」になってるのは、ちょっとしたアクシデントね。

この段階では、こんなことも、まま起こります。(^_^;)

 

それはともかく、いったいなぜ「フィンセントは ねむない」のか?

 

ゴッホときいて多くの人が思いうかべるのは、ひまわりやアイリス、麦畑など、明るい陽ざしの中の昼の絵ですよね。なんたって炎の人ゴッホですから。

ところがこの本の著者によれば、ゴッホは昼ではなく、夜の人だったというのです。

 

フィンセント・ファン・ゴッホは、子どもの頃から夜中に家をぬけだして、広大な荒れ野を一人でずんずん歩くのがすきだったそうです。

9歳か10歳のときに6マイルも離れた隣国ベルギーまで歩いていってしまったことも。

嵐の夜には、ことのほか心がおどったとか。

もちろん両親はきつく叱りましたが、フィンセント少年にとっては、荒々しい自然の息吹を肌で感じることが 無上の喜びだったようです。

たしかに夜は美しく、神秘にみちています。

 

もっともフィンセントが「ねむれなかった」のは、そうした心浮きたつ理由だけではなく、昼間の社会に居場所がみつけられなかったからでもありました。

焦りや不安、怒りは、ひとを安眠から遠ざけます。

フィンセントの人生は、ねむれぬ夜の連続でした。

 

「星月夜」は、わたしがもっとも好きなゴッホの絵ですが、死の一年ほど前に、鉄格子のはまった精神病院の病室でねむれぬ夜をすごし、朝になると、医師の許可を得て階下の画室に降りていって描いた絵だそうです。

 

 

 

今夜は台風24号が日本を走り抜けます。

記録的な暴風雨になるとのことで、なんだか胸がざわざわします。

ゴッホが魅了された自然の壮大な力を見せつけられることになりそうですが、どうか被害がすくなくてすみますように…。

 

 

コメント