活版印刷

 

活版印刷を体験してきました。

 

アルファベットだけで名刺をつくります。

小さな鉛の棒を、ひと文字ひと文字、指先やピンセットで棚からぬきとって、並べて原稿をつくるのです。

 

 

名前用の18ポイント活字はまだよいものの、アドレスにつかった8ポイントの「i 」とか「:」なんてもう爪楊枝を裂いたみたいに細かい…。

今回はアルファベットだけでしたが、平仮名・片仮名・漢字・数字の組み合わせになるとどんなことになっちゃうのやら。

活字と活字のあいだのスペースにも、込め物を入れます。

左右のバランスや行間を考えて、しかも作業中にすべって落ちてこないように隙間なく埋め込まなくてはなりません。

天地をまちがえたり、せっかく並べた活字を倒してしまったりと、あたふたしながら、ようやく3行分の活字を「植字」して作った組み版が、トップの画像です。

達成感とともに記念撮影〜!

 

ところが印刷してみたら、ありゃま、Nakaのひとつめの「a」が上下さかさまでした。。 

おお、これが「誤植」というものなのね!と、とりあえず感激。はい、やりなおし〜。泣

 

本の場合、数行ずつ拾って植字したのちに、1頁ぶんをこのように紐で束ねるのだそうです。

本一冊が数百頁あるとして、いったいどれほどの重量になるのでしょう。

 

昭和の香りただよう印刷機にセットして、ガチャンガチャンと一枚ずつ手押しで印刷。

(案外、腹筋つかいました)

 

 

うむ。この、きりりとした物質感は、たしかに美しい…。ほれぼれ。

 

 

 

…あ。

もちろん、次の新刊が活版印刷ででるわけでは、ありません!

ただの好奇心なのですが、本を出版してもらっている身として、なんとなく心の文鎮のようなものを求めていたような気もします。

 

PCでペチペチ言葉を打って、おうちプリンターでシャアシャア印字して、その紙をポイポイ捨てているのが、わたしの日常です。

でも本来、会ったこともない人びとに届ける文字、わたしの命が絶えてから読んでもらうかもしれない言葉というものは、これだけの重量と労力を必要とするものだったのだということを、ちょっとだけ、じぶんに思いしらせておくために。

 

 

去年、読売新聞で原田勝さんと交替で連載していた本の紹介「空色ブックガイド」でも、活版印刷にまつわる本をとりあげています。

(活字の街をさまよう少女のイラストは丹地陽子さん。掲載許可を伺っていないので半端な見せ方です、ごめんなさい ! )

 

 

 

 

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