読書感想文コンクールの表彰式

 

読書感想文全国コンクールの表彰式にいってきました。

がっこうだって どきどきしてる』の感想を書いてくれた子たちが表彰されたからです。

 

今回は、皇太子さまとともに雅子さまが17年ぶりに出席され、ことさら晴れがましい式典となりました。

そのぶん警備や報道陣も増え、物々しい雰囲気でもあります。

 

著者の席は前のほうに設けられているのですが、あらかじめ、じぶんの著書の感想文だけは読ませてもらっているので、子どもたちが入場してくると、どの子が「じぶんの」子かしらと、著者は各自いそがしく目を走らせます。

そしてその子の名前がよばれると、一挙手一投足をみつめ、うなずき、ほほえんでしまう。

壇上で賞状を授与する大人たちさえ緊張する厳かさのなか、ひとりずつ名前をよばれて賞状を受けとる子どもたちの凛々しいこと…。

 

わたしの左隣は宇野和美さん。右隣は、まはら三桃さん。

かわりばんこに目顔でかわした会話は…

 

 「(あなたの子)、かわいいわねえ」

 「(あなたの子)、おじぎが綺麗ね」

 「(あなたの子)、なんて利発そう」

 

著者席はほとんど模擬保護者席へと変じ、ほめあいの応酬となったのでありました…。

 

式が滞りなくすむと、ホールに移動して記念パーティです。

うってかわってにぎやかに談笑する黒山の人だかりをかきわけて、著者と編集者、出版社のスタッフたちは「うちの子」を探しだし、サイン本をわたしたり、いっしょに写真をとったりします。

ご両親や先生方ともお話ができるので、子どもの読書を応援してくださる方達にとても励まされるひとときです。

 

  

 

緊張からときはなたれた子どもたちのかわいらしいこと。

Aちゃん、プチケーキをずいぶんたくさん食べてたよねえ…。(^o^)

おいしく楽しい記憶が、このさきいつまでも本を読む喜びとつながりますように。

 

 

 

ついでに課題図書つながりで、ちょっといい話をひとつ。

 

昨年の11月のこと。

地下鉄銀座線の車内で、小学校三年生くらいにみえる制服姿の男の子が、むちゅうで本に読みふけっていました。

もちろん、わたしは隣にすわり、しっかり観察。

 

低学年で読むにはかなり長めの翻訳児童文学『ぼくとベルさん・友だちは発明王』です。

夏休みの高学年向け課題図書だった児童書で、電話を発明したベルとディスレクシアの少年との交流をえがいた歴史フィクションのラスト10ページほどを、その少年はとても集中して読んでいました。

 

…と、そのうち鼻をスピスピさせて、本を読みながら、左手でハナクソをほじりはじめたではありませんか。

おお、巨大なハナクソが取れました!

 

はじめて本から目を離し、ハナクソをまじまじとみつめる少年。

そのハナクソどうするつもりだい、区立図書館の本にくっつけないでよねと慌てるわたし。

しかし少年は、それを左手の指でつまんだまま、ひじで本を押さえ、右手でページをめぐり、またひたすら読み続けたのであります…。

だからわたしは、ポケットティッシュを「どうぞ」と さしだしました。

 

少年はキョトンとした顔でわたしをみあげ、「ありがとうございます」と礼儀正しくいうと、ティッシュを二枚抜き取り、それまでがまんしていたのか盛大に鼻をかんでから、ポケットにねじ込みました。

そのころには、目はまた本に吸い寄せられています。

 

そしてそのまま最後のページまで読み終え、あとがきと著者紹介はパスして、また最初のページにもどり、ところどころ、たしかめるように再読しはじめたのです。

もはやティッシュのおばさんのことは些かも眼中になく、わたしが電車をおりるときにも、まったく目をあげませんでした…。

 

ね。

いい話でしょ。

訳者の櫛田理絵さんと、PHP出版の編集者さんに会えたらお伝えしようと思っていたのに、あまりの人の多さに叶いませんでした。

かわりにここに書いておきます。

 

コメント

なかがわさんの「うちの子」、私の近所にもいます! まりちゃんという小学2年の女の子です。私は子どもの通っていた小学校でずっと読み聞かせボランティアをしています。(自分の子どもはとうに卒業しているのですが。)まりちゃんはボランティア仲間のSさんのお嬢さんです。4,5年前、まだ未就園児だったまりちゃんは、活動日にお母さんに連れられて一緒に小学校に来ていました。私がまりちゃんを膝にのせて絵本を読み聞かせるととても喜んでくれて、仲良くなりました。
ある時、(そういえば)と思い出し、なかがわさんの『のはらひめ』の絵本をSさんにお勧めしました。お話も絵も素敵で、なんといっても主人公が「まりちゃん」。そうしたらとても気に入って下さり、家で楽しむのはもちろん、お母さんはその後、いろんなクラスで読み聞かせにこの本を使っていらっしゃいます。そして、最近嬉しいお知らせが。まりちゃんが通っているピアノ教室で作曲のコンクールがあり、『のはらひめ』のイメージを曲にして応募したのだそうです。私も聞かせてもらったのですが、かわいらしく軽やかなワルツで始まり、これは竜の出てくる場面?と思うような雰囲気のメロディーもあり、私の思っていたイメージにもぴったりの素晴らしい曲でした。なかがわさんの『のはらひめ』がSさん親子にとって思い出の1冊になったことがとても嬉しく、メールさせていただきました。

  • atsuko
  • 2019/02/27 09:47

うれしいお便りをありがとうございます。
「うちの子」が、ご近所にも……!? なんて素敵な表現でしょう。
作者冥利につきると、じんわり余韻にひたったあとで、作者にかぎらず、こういう「うちの子」との糸があちこちに伸びてつながっている社会はいいなあと思いました。
atsukoさんにとっての、まりちゃん。
Sさんにとっての、読み聞かせの子どもたち。
そしていつの日か、表現することをしったまりちゃんにとっての、だれか。
赤い糸というより、カラフルな糸でつながっているにちがいない。
ね、捨てたもんじゃないですよね。(^o^)

  • なかがわちひろ
  • 2019/02/28 16:31