おたすけ会議 4

 

 とき :  入梅前の平日。

 

 ところ :  都心の一等地にある オフィスビルの一室。

           超有名企業をテナントにもつ当ビルのセキュリティ管理は極めて厳しい。 

             ここまで入ることを許される部外者が少ないなか、男女2名のゲストが入室。

 

挨拶もそこそこに、すぐに真剣な表情で商談をはじめる男性ゲスト。

建設重機がびっしりと描かれたノートを鞄からとりだし、彼が希望する特殊な機械について語る。

 

 

そのノートには、国内に点在する小規模メーカーの連絡先も記載されている。

「この機種の、右手後方約30度を下から眺めた写真が欲しい。

 まずはパンフレットを入手してくれませんか。

 できれば関東圏内で実物の写真を撮れるところがあるといいんだけど」

「わかりました。すぐに手配します」

若手社員は素早くスマホになにやら打ち込む。

 

 

しばらくして、会社側の女性上司が腕組みをして難色を示す。

「うーん、ブロロロロ…の迫力がイマヒトツかなあ。

ひとつには、お弁当箱の角がはっきり見えていないせいかしらね」

 

しかしこの指摘に対して、男性ゲストは、きっぱりと抗弁する。

「いや。そもそも角ってもんが無いのよ。このお弁当箱は、小判型だから」

 

一同、ハッとして、うなずく。

「小判型かあ…。たしかに、3歳児のお弁当箱は角型じゃないかも」

「角型だったら男子高校生のドカ弁だもんね」

「でもさ、角がまあるい角型はあるよ」

「ところで、お弁当包みのハンカチタイプって、3歳児には難易度高いのでは?」

「4歳児になると、園で包み方をお勉強するみたいだよ」

しばし、園児のお弁当に関する検証がつづく。

 

さらに、なにかと注文の多い女性ゲストが、奇妙なことを言いだす。

「笛をふいてバッタが通らないように交通規制をしているコビトがほしい!」

 

男性ゲストは目をしばたたき、困惑。

「え、なにそれ。笛をふきながらバッタを止めるってどういうこと?」

 

すると、勘の良い若手社員が やおら立ちあがり、交差点の中央でピーッピッピと笛をふき、きびきびと手信号で車をさばく警官のジェスチャーを実演。

 

「ああ、なるほどね…」

男性ゲストはうなずき、そのポーズをノートに描きこむ。

 

 

 

…そうです。

このへんてこりんな「商談」は、おたすけこびと会議です。

男性ゲストは、絵描きのコヨセさんで、注文の多い女性ゲストは、もちろんわたし。(^o^)/

 

午前11時から午後5時過ぎまで、ランチ中も打ち合わせ続行で、みっちり6時間以上。

おたすけこびとワールドのリアリティを深めるために、総力戦で検討を重ねます。

 

絵本をくりかえし読んでくれる子どもたちが、そのたびになにかしら心ときめく発見をしてくれるようにと願って。

 

 

コメント

こんな会議がされているからこそ、
我が子を含め多くの子ども達が、何度も何度も「読んで!!」という
絵本が生まれるのだと。

ただただ、感動です。
この会議が始まってから、
ずっと楽しみにしています。

  • かき
  • 2019/06/08 23:17

いやあ、「感動」なんて言われると照れます。
いちばん楽しんでいるのは、どうやら、わたしたち自身ですから。

でも、大人の本気の熱量は、子どもたちにちゃんと伝わる。
そして子どもたちは、それをじぶんの力でさらに膨らませてくれる。
そのことは確信しています。

真剣&滑稽おたすけ会議レポート、次号をおたのしみに!

  • なかがわちひろ
  • 2019/06/09 09:50