きょうりゅうたちの ペット入手経路

 

どこからも横槍が入らず、めでたく契約書がかわされたとのことで、きょうりゅうシリーズ絵本の翻訳をはじめました。

 

秋に刊行予定の一冊は  "How Do Dinosaurs Choose Their Pets?"

直訳すると「きょうりゅうたちは どのように ペットを えらぶのか?」となります。

 

…なんのこっちゃ!? 

じつは、このシリーズに登場する迫力満点のきょうりゅうは、すべて人間の子どもたち。

きっと作者は、とほうもなくパワフルで わからんちんの子どもに振り回された経験が豊富なのでしょう。

 

今回、きょうりゅう(=子どもたち)は「ペットをかいたい!」と言いだします。

子育てアルアルですな。

 

動物がいるのは動物園!ということで、動物園からトラをかついできちゃったりします。

きょうりゅうですから、ゾウをひっぱってくるのも造作ありません…。

 

 

火を吹くドラゴンも、ペットとして飼育対象になります…。

 

 

…などなど、おもいっきり破天荒な暴れっぷり。

子どもの願望や、やってくれちゃいそうなことが、ドスンドスンと描かれます。

「そ、それは、さすがにまずいのでは」と焦っちゃう。

 

その頃合いをみはからって、いっきに正道に導くのが、当シリーズの戦法です。

「まさか、そんなことしないよね。きょうりゅうだもの。ちゃんとわかってるよね」って。

 

だまし討ちのような展開ですが、にやにやげらげら笑ったあとの子どもたちは、心が解放されているのか、素直に頷いてしまうようです。

はい、なにをかくそう、この本の正体は、しつけ絵本であります。

大人って、ずるいよねえ。

いつもながら作者たちの狡猾さに苦笑します。

(…って、わたしもまちがいなく、その一味ですが…(^_^;)

 

 

かくしてめでたく、大型危険動物ではなく、犬、猫、うさぎ、ハムスターなどの小さく愛らしい動物を飼うことで妥協する きょうりゅうたち。

 

 

さて。

みなさんは、ペットを飼うとき、どこへ行きますか?

 

この絵本のきょうりゅうたちが行くのは、以下の三つ。

 

  shelter (シェルター)

 ◆farm (農場)

  pet store (ペットショップ)

 

ここで翻訳者の深い悩みが始まります。

 

,離轡Д襯拭爾箸聾でなどの保護施設のことですが、「シェルターに いぬを もらいにいく」ときいて状況を理解できる幼児が何人いるでしょう。

大人の読者でも核シェルターやDVシェルターなどを想像してしまうかもしれないので、このカタカナ用語そのままは使えません。

 

日本でも、小動物の保護と一時飼育および譲渡斡旋を扱う組織は官民ともに増えてきましたが、その呼び名が一定しておらず、認知度も高いとはいえないのが現状です。

 

 ほごしせつ (保護施設)

 どうぶつあいごだんたい (動物愛護団体)

 さとおやかい (里親会)

 

うーん。

漢字だと内容を把握できるけれど、平仮名になると、すんなり頭に入らないですよね。

絵本の文章の基本は平仮名なので、悩ましい…。

 

 

△痢屬里Δ犬腓Α廚癲▲ぅ泪ぅ繊

町に住む子どもたちが郊外にでかけて、広々とした農場で繁殖された犬猫などを分けてもらうのは、欧米の絵本や児童文学によく描かれる情景です。

でも、日本の稲作農家や養鶏業の方が「子犬、わけてください」と言われたら目をパチクリしちゃうはず。

作品によってはもちろん異文化紹介としてOKですが、この本の場合、異物感のデメリットのほうが大きいかな。

 

 

の「ペットショップ」。

これは問題ありませんね。そのまま使えます〜。

……といいたいところですが、じつは、ここが最大の難所なのであります!

 

なぜなら、現在、欧米のペットショップのありかたが、日本のペットショップとは、かなり違う方向へと急速に変わりつつあるから。

名前だけ同じで内容の異なる言葉をカタカナに置き換えることは、翻訳ではありません。

むしろ誤訳。

 

絵本は、未来をひらく子どもたちが読むものです。

それも何度もくりかえし、くりかえし、読んでくれる。

すくなくとも五年か十年先までは、言葉の賞味期限を想定しなくては。

 

これからの日本の子どもとペットの望ましい出会いの場は、どこでしょう。

小動物飼育歴半世紀を超える私は、翻訳の範疇で可能な匙加減をさぐっています。

 

 

…へへ。

なにやら大袈裟な話になりましたが、つづきは、またね。(^o^)

 

 

 

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